就労選択支援とは?対象者・サービス内容・手続き・運営方法まで解説

公開日:2026/05/12

就労選択支援とは?対象者・サービス内容・手続き・運営方法まで解説

2025年10月、新しい障害福祉サービス「就労選択支援」がスタートします。

これは、障害のある方が自分に合った働き方を見つけるための大切なサービスです。

この記事では、利用を考えている方と事業所の運営を担う方、双方に向けて制度の基本を解説します。

新しいサービスを正しく理解し、活用するための一歩にしてください。

目次

  1. 就労選択支援とは
  2. 就労選択支援の対象者と利用期間
  3. 就労選択支援で受けられる具体的なサービス内容と流れ
  4. 就労選択支援の利用手続きと費用:相談から支援開始までのステップ
  5. 他の就労支援サービスとの違い:就労移行支援や就労継続支援との比較
  6. 就労選択支援員になるには
  7. 就労選択支援のメリット・デメリットと今後の課題
  8. 就労選択支援事業所の運営のポイント

就労選択支援とは

基本的な定義と目的

就労選択支援とは、障害のある方が自分に合った仕事や働き方を見つけるための新しい福祉サービスで、2025年(令和7年)10月から開始されます。

このサービスの最大の目的は、本人の希望や適性を客観的に評価すること、そしてどの就労支援サービス(就労移行支援、就労継続支援A型・B型など)が最も適しているかを本人と一緒に考えることにあります。厚生労働省はこれを、就職後のミスマッチを防ぎ、一人ひとりが納得して働き続けられる未来を実現するための重要なプロセスと位置づけています。

従来の就労支援サービスとの違い

従来の就労支援サービスとの最も大きな違いは、その目的です。就労移行支援や就労継続支援は、働くための訓練や働く場の提供が主な目的でした。一方、就労選択支援は、「本格的な訓練や就労を始める前に、どの支援が本人に合っているかを見極める」ことに特化しています。

これにより、利用者は自分に合わない訓練を長期間受けるといった遠回りを防ぎ、最短距離で自分らしい働き方を目指せるようになります。

就労選択支援の対象者と利用期間

就労選択支援の対象者は、就労移行支援または就労継続支援の利用を希望をしている、または現在利用している障がい者です。

就労選択支援の施行に伴い、就労継続支援B型は 「就労選択支援事業者によるアセスメントで、課題等の把握ができている方」 が利用対象となります。

そのため、新たに就労継続支援B型を利用したい場合は、その前に就労選択支援を利用する必要があります。


ただし、

  • 50歳以上
  • 障害基礎年金1級を受給している
  • 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった

に該当する場合は、就労選択支援のアセスメントを行うことなく、就労継続支援B型を利用することができます。(希望に応じて就労選択支援も利用可能)


また、

  • 最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等、 近隣に就労選択支援事業所がない
  • 利用可能な就労選択支援事業所数が少なく、 就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる

のような場合は、 就労移行支援事業所等での就労アセスメントを経た就労継続支援B型の利用が認められます。

利用可能期間と更新について

就労選択支援を利用できる期間は、原則として1ヶ月です。これは、短期間で集中的に本人の適性評価(アセスメント)を行い、次のステップへスムーズに進むことを目的としているためです。

ただし、もう少し時間が必要だと判断された場合には、さらに延長して利用できます。あくまで次の就労支援サービスを選ぶための、期間を限定したサービスと理解しておく必要があります。

就労選択支援で受けられる具体的なサービス内容と流れ

「就労アセスメント」とは

就労アセスメントとは、その人が「どのような仕事に向いているか」「どんな働き方が合っているか」を客観的に評価することです。就労選択支援ではこのアセスメントがサービスの中核を担います。

具体的には、簡単な作業体験や職場実習、面談などを通じて、本人の希望、得意なこと、苦手なこと、必要な配慮などを多角的に把握します。

これにより、本人が気づいていなかった強みや可能性を発見し、納得感のある進路選択につなげることを目指します。

アセスメントから個別支援計画への反映

アセスメントで得られた情報は、「アセスメントシート」という書類にまとめられ、本人や家族に分かりやすく共有されます。この客観的な評価結果は、事業所内のケース会議や、主治医、相談支援事業所、ハローワークといった関係機関とも連携しながら多角的に検討されます。

そして、このアセスメントシートを基に、相談支援専門員がサービス等利用計画を作成し、その後の就労移行支援事業所などでの、より具体的な個別支援計画へと反映されていきます。

就労選択支援の利用手続きと費用:相談から支援開始までのステップ

相談から利用開始までの手続き

就労選択支援の利用を考え始めたら、まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口、または相談支援事業所に相談します。そこで、サービス等利用計画(案)の作成を依頼し、市区町村に申請します。

認定調査などを経てサービスの利用が認められると、「障害福祉サービス受給者証」が交付され、利用したい事業所と契約を結ぶことでサービス開始となります。

  1. 相談: 市区町村の窓口や相談支援事業所に相談
  2. 計画(案)作成: 相談支援事業所に「サービス等利用計画(案)」の作成を依頼
  3. 申請: 市区町村の窓口に申請
  4. 支給決定: 認定調査等を経て、受給者証が交付される
  5. 契約・利用開始: 事業所と契約し、サービス利用開始

就労選択支援の利用にかかる費用と自己負担額

就労選択支援の利用料は、その他の障害福祉サービスと同様に、費用の9割を国や自治体が負担し、残りの1割を利用者が負担するのが原則です。

ただし、利用者本人の負担が大きくなりすぎないよう、世帯の所得に応じて1ヶ月あたりの自己負担額に上限が設けられています。

  • 生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円
  • 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満): 9,300円
  • 上記以外: 37,200円

他の就労支援サービスとの違い:就労移行支援や就労継続支援との比較

就労移行支援との違い:目的と支援期間の比較

就労移行支援との最も大きな違いは、「目的」と「期間」です。就労移行支援は、一般企業への就職を目指し、ビジネスマナーやパソコンスキルなどの「訓練」を最長2年間かけて行うサービスです。

一方、就労選択支援は、どの支援が自分に合うかを「見極める」ためのアセスメントを、原則1ヶ月という短期間で行います。

就労継続支援や就労定着支援との違い

就労継続支援(A型・B型)は、事業所と雇用契約を結んだり、自分のペースで作業を行ったりする働く場そのものです。一方、就労選択支援は働く前の準備段階のサービスです。

また、就労定着支援は、一般企業に「就職した後」に長く働き続けるためのサポートを行うサービスです。支援するタイミングが、就職前か、就職後か、働く場そのものか、という点で明確に異なります。

就労選択支援員になるには

就労選択支援員の役割と資格要件

支援員になるには、都道府県が実施する就労選択支援員養成研修を修了する必要があります。この研修を受けるには、基礎的またはそれ以上の研修を修了している必要があります。

ただし、経過措置として、2027年度末(令和9年度末)までは、サービス管理責任者研修(就労分野)の修了者など、特定の研修を修了した者も就労選択支援員とみなされます。

就労選択支援のメリット・デメリットと今後の課題

就労選択支援がもたらすメリットと注意点

利用者にとっての最大のメリットは、客観的なアセスメントを通じて自己理解を深め、就職後のミスマッチを大幅に減らせることです。納得して進路を自己決定できるため、働く意欲も高まります。

一方で、新しい制度のため地域によっては事業所が少ない可能性や、支援の質が担当者のスキルに左右されるといった注意点もあります。事業所を選ぶ際には、実績や支援内容をしっかり確認することが大切です。

制度が抱える今後の課題

制度の大きな課題は、専門性の高い就労選択支援員を全国的に育成・確保することです。また、地域のハローワークや企業、医療機関など、様々な関係機関とのスムーズな連携体制をどう構築していくかも重要です。

地域によって支援体制に格差が生まれないよう、国や自治体による継続的な環境整備が求められます。今後、利用状況の検証などを通じて、制度はさらに改善されていくことが期待されます。

就労選択支援事業所の運営のポイント

就労選択支援の事業所指定基準と人員配置

人員配置について、事業所全体を管理する「管理者」と、専門的な支援を行う「就労選択支援員」の配置が義務付けられています。就労選択支援員の数は、「利用者数÷15」人以上である必要があります。

短期間のサービスであることから、個別支援計画の作成とサービス管理責任者の配置は必要ないとされています。

効果的なアセスメント実施と情報共有の重要性

効果的な運営には、客観的なアセスメントと円滑な情報共有が不可欠です。

  • 本人中心の支援: 本人の希望を尊重し、主体的な意思決定を支援する。
  • 中立性の担保: 地域の多様な就労支援機関と連携し、偏りのない情報を提供する。
  • 連携の強化: 市区町村、相談支援事業所、ハローワークなどと密に連携する。
  • 情報共有とプライバシー保護: 関係機関と連携する際は、個人情報の取り扱いに細心の注意を払う。

これらのポイントを徹底し、利用者からの信頼を得ることが、事業所の安定運営につながります。

請求・記録業務の負担軽減とシステム化のメリット

日々の支援記録の作成や、国保連への報酬請求は、事業所運営における必須の事務作業です。特に、アセスメントシートや個別支援計画の策定は支援の質に直結しますが、手作業では多くの時間がかかり、支援員が利用者と向き合う時間を圧迫しかねません。

この事務負担をいかに軽減するかは、事業所の安定経営と支援の質向上の両面から極めて重要です。専門のICTシステムを導入すれば、記録や請求業務を大幅に効率化でき、職員間の情報共有も円滑になります。

結果として、支援員は本来の専門的な支援業務に集中でき、利用者へのサービス向上に繋がると考えられます。

小川淑生

監修:小川 淑生

株式会社Jin 取締役

障害福祉分野を中心にAIアシスタント「AURA」を展開。
書類作成の自動化などによって現場の負担を軽減し、福祉現場の変革を目指す。
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