地域移行支援とは|対象者・支援内容・利用の流れ・地域定着支援との違い

公開日:2026/11/07

地域移行支援とは|対象者・支援内容・利用の流れ・地域定着支援との違い

地域移行支援とは、施設や精神科病院に入所・入院している障害者が地域生活へ移るために、一般相談支援事業所が住まい探しの相談や外出の同行、体験利用などを原則6か月以内で行う相談支援です。

この記事では、地域移行支援の対象者、支援内容、申請から退院・退所までの流れ、給付決定期間と更新、地域移行支援計画の書き方、地域定着支援・自立生活援助との違い、計画相談支援との関係を、e-Gov法令検索の条文と厚生労働省の情報をもとに整理します。

目次

  1. 地域移行支援とは(法律上の定義)
  2. 対象者
  3. 支援内容
  4. 利用の流れ(申請から退院・退所まで)
  5. 給付決定期間と更新・利用者負担
  6. 地域移行支援計画の作り方と記入例
  7. 地域定着支援・自立生活援助との違い
  8. 計画相談支援(サービス等利用計画)との関係
  9. 事業所の要件と相談支援専門員の役割
  10. 相談支援の書類負担を減らす(AURAの使い方・事例)
  11. よくある質問
  12. 関連記事
  13. 参考資料

地域移行支援とは(法律上の定義)

地域移行支援は、障害者総合支援法第5条で「相談支援」の一つとして定められたサービスです。法律上の「相談支援」は基本相談支援・地域相談支援・計画相談支援の3つで、このうち地域相談支援は「地域移行支援」と「地域定着支援」の2つを指します(e-Gov法令検索:障害者総合支援法)。

同じ条文では、地域移行支援を、施設に入所している障害者や精神科病院に入院している精神障害者などで、地域における生活に移行するために重点的な支援を必要とする人に対し、住居の確保その他の地域生活に移行するための活動に関する相談などの便宜を供与すること、と定義しています。

厚生労働省は、地域移行支援を「入所施設や精神科病院等における地域移行の取組と連携しつつ、地域移行に向けた支援を行うもの」と説明しています(厚生労働省:障害のある人に対する相談支援について)。施設や病院の中の支援を置き換えるものではなく、外側から地域生活の準備を進める役割です。

対象者

対象者は、障害者総合支援法施行規則第6条の11の2で定められています(e-Gov法令検索:障害者総合支援法施行規則)。整理すると次のとおりです。

地域移行支援の対象となる人(施行規則第6条の11の2・厚生労働省の整理をもとに作成)
入所・入院・収容している場所対象となる人
障害者支援施設、のぞみの園、児童福祉施設、療養介護を行う病院入所している障害者
精神科病院(精神病室のある病院を含む)入院している精神障害者
救護施設・更生施設(生活保護法)入所している障害者
刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)、少年院収容されている障害者
更生保護施設、保護観察所に設置等された宿泊施設など入所・宿泊している障害者

厚生労働省の説明では、これらのうち「地域生活への移行のための支援が必要と認められる者」が対象です。入所・入院していれば自動的に使えるわけではなく、市町村が申請を受けて給付の要否を決めます。

支援内容

地域移行支援で提供する支援は、施行規則第6条の12と「指定地域相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」(以下、地域相談支援の基準)第21条に列挙されています(e-Gov法令検索:指定地域相談支援の基準)。

地域移行支援の主な支援内容
支援内容基準上のポイント
住居の確保などの相談退院・退所後の住まい、生活費、日中の過ごし方などの相談地域生活に移行するための活動に関する相談
外出の際の同行住まいの見学、役所の手続、事業所の見学などへの同行施行規則第6条の12に明記
障害福祉サービスの体験的な利用支援生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援の体験利用指定障害福祉サービス事業者等への委託で行う(基準第22条)
体験的な宿泊支援地域での一人暮らしなどを短期間試す宿泊必要な広さの居室・設備があり、衛生的な場所で行う(基準第23条)
関係機関との連絡調整市町村、サービス事業者など退院・退所後の生活に関わる機関との調整基準第24条

基準第19条では、支援が「漫然かつ画一的なもの」にならないよう配慮すること、利用者の意思決定の支援に配慮すること、必要に応じて同じ障害のある人による支援(ピアサポート)などの手法を使うことも求めています。

利用の流れ(申請から退院・退所まで)

地域移行支援は「地域相談支援給付決定」を受けて利用します。法律(第51条の6・第51条の7)と地域相談支援の基準をもとにした一般的な流れは次のとおりです。

  1. 相談・申請:本人(施設・病院の職員や家族の支援を受けることが多い)が市町村に地域相談支援給付決定を申請します。
  2. サービス等利用計画案の作成:市町村が求めた場合、指定特定相談支援事業者(計画相談支援)が作るサービス等利用計画案を提出します。
  3. 給付決定と受給者証の交付:市町村が心身の状況や本人の意向などを勘案して給付の要否と期間・量を決め、地域相談支援受給者証を交付します。
  4. 事業所との契約:指定一般相談支援事業所(地域移行支援を行う事業所)と契約します。事業所は利用申込者に重要事項を説明し、同意を得ます(基準第5条)。
  5. アセスメントと地域移行支援計画の作成:本人と面接して希望する生活や課題を把握し、計画作成会議を経て計画を作ります。
  6. 支援の実施:住まい探しの相談、外出の同行、体験利用・体験宿泊、関係機関との調整を行います。
  7. 退院・退所と地域生活への移行:必要に応じて地域定着支援や自立生活援助、ほかの障害福祉サービスにつなぎます。

申請に必要な書類や窓口の運用は市町村によって異なるため、具体的な手続は住んでいる(または住む予定の)市町村の障害福祉窓口に確認してください。

給付決定期間と更新・利用者負担

地域相談支援給付決定の有効期間は施行規則第34条の42で定められており、地域移行支援は1か月から6か月までの範囲で市町村が月単位で決めます(給付決定日が月の途中なら、その月の末日までの期間が加わります)。地域定着支援は1か月から12か月までの範囲です。

給付決定期間と更新(施行規則第34条の42・厚生労働省の説明をもとに作成)
サービス給付決定期間更新
地域移行支援6か月間まで十分な成果が得られず、引き続き支援すれば地域生活への移行が具体的に見込まれる場合は6か月間の範囲で更新可。さらなる更新は必要に応じ市町村審査会の個別審査を経て判断
地域定着支援1年間まで緊急時の支援体制が引き続き必要と見込まれる場合は1年間の範囲で更新可。さらなる更新も必要性が認められれば可

利用者負担については、法第51条の14第3項で地域相談支援給付費の額が「指定地域相談支援に通常要する費用」について算定した額とされており、障害福祉サービスのように利用者負担額を差し引く規定がありません。このため、一般に利用者の自己負担はないとされています。個別の取扱いは市町村に確認してください。

地域移行支援計画の作り方と記入例

地域移行支援事業所は、利用者ごとに「地域移行支援計画」を作ります。地域相談支援の基準第20条で定められた手順は次のとおりです。

  1. 本人と面接してアセスメントを行う(面接の趣旨を説明して理解を得る)
  2. 意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項を書いた原案を作る
  3. 計画作成会議を開く(本人と、施設・病院などの担当者を招集。テレビ電話装置等も可)
  4. 本人または家族に説明し、文書で同意を得る
  5. 計画を本人と、計画相談支援を行う事業者に交付する
  6. 作成後も適宜見直し、必要に応じて変更する

本人が自分で意思を決めることに困難を抱える場合は、意思や選好、判断能力などを丁寧に把握することも求められています。記載事項ごとの書き方は次のとおりです(記入例は架空の事例です)。

地域移行支援計画の記載事項と記入例(架空の事例:精神科病院に長期入院中の50代男性)
記載事項書くこと記入例よくある誤り
本人・家族の意向本人の言葉で希望する暮らし「病院の近くのアパートで一人で暮らしたい。週に何回か作業所に通いたい」「退院を希望」だけで暮らし方が分からない
総合的な支援の方針支援全体の方向性住まいと日中活動の場を体験しながら決め、退院後の相談先を本人と確認する病院の治療方針をそのまま書く
課題移行に向けて解決すること単身生活の経験がなく、金銭管理と服薬管理に不安がある症状の説明だけで生活上の課題がない
目標と達成時期期間内に確認できる目標3か月以内に住まいの候補を2件見学する。5か月以内に体験宿泊を2泊行う「地域生活に慣れる」など確認できない表現
留意事項支援で配慮すること外出時は疲れやすいため、同行は午前中に1件までとする空欄、または一般論だけ

地域定着支援・自立生活援助との違い

地域移行支援と混同しやすいのが、同じ地域相談支援の「地域定着支援」と、障害福祉サービス(訓練等給付)の「自立生活援助」です。地域定着支援は、居宅で単身などのため家族等による緊急時の支援が見込めない障害者に、常時の連絡体制を確保し、緊急の事態に相談などの支援を行うサービスです(障害者総合支援法第5条、施行規則第6条の13・第6条の14)。

地域移行支援・地域定着支援・自立生活援助の比較
項目地域移行支援地域定着支援自立生活援助
位置付け地域相談支援地域相談支援障害福祉サービス
使う時期入所・入院中(移行前)地域で生活している間地域で生活している間
主な支援住まい探しの相談、同行、体験利用・体験宿泊常時の連絡体制、緊急時の訪問・連絡調整・一時的な滞在定期的な巡回訪問や随時の通報による相談・助言・連絡調整
期間6か月間まで(更新可)1年間まで(更新可)施行規則で1年間

地域定着支援の事業所は、利用者の心身の状況や緊急時の連絡先などを書いた「地域定着支援台帳」を作り(基準第42条)、緊急の事態が生じたときは速やかに居宅への訪問等で状況を把握します(基準第44条)。自立生活援助は定期的な巡回訪問を中心とする点で、緊急時の対応を中心とする地域定着支援と役割が異なります。

計画相談支援(サービス等利用計画)との関係

地域移行支援を使う人にも、計画相談支援が関わります。厚生労働省は計画相談支援の対象者として「地域相談支援を申請した障害者であって市町村がサービス等利用計画案の提出を求めた者」を挙げています。施行規則第6条の15でも、サービス等利用計画には障害福祉サービスと並んで地域相談支援の種類・内容・量などを書くことになっています。

2つの計画の違い
項目サービス等利用計画地域移行支援計画
作る事業所指定特定相談支援事業所指定一般相談支援事業所
役割使うサービス全体の組み合わせを決める地域移行支援の具体的な支援内容を決める
見直しモニタリング(地域移行支援の利用者は施行規則上6か月ごとが標準)適宜見直し、必要に応じて変更

地域移行支援計画は、作成後に計画相談支援を行う事業者へ交付することが義務付けられています(基準第20条第8項)。同じ法人が両方を担う場合でも、2つの計画の内容が食い違わないよう、目標や期間をそろえておくことが大切です。

事業所の要件と相談支援専門員の役割

地域移行支援を行うのは、都道府県知事の指定を受けた指定一般相談支援事業者です(法第51条の14)。地域相談支援の基準では、主に次の点が定められています。

  • 事業所ごとに専従の「指定地域移行支援従事者」を置く(業務に支障がなければ兼務可)。そのうち1人以上は相談支援専門員とする(第3条)
  • 管理者は、相談支援専門員に、ほかの従事者への技術的指導と助言を行わせる(第19条)
  • 市町村、サービス事業者など退院・退所後の生活に関わる機関と連絡調整を行う(第24条)
  • 提供の記録、地域移行支援計画、苦情・事故の記録などを、提供した日から5年間保存する(第38条)

相談支援専門員は、施設・病院の担当者、計画相談支援の担当者、住まいや日中活動の事業所など多くの関係者と調整しながら、面談、同行、会議、計画づくりを並行して進めます。そのぶん、面談記録や計画、経過記録などの書類も増えやすくなります。

相談支援の書類負担を減らす(AURAの使い方・事例)

地域移行の場面では、病院や施設への訪問、同行、会議が重なり、記録を書く時間が後回しになりがちです。書類作成の負担を減らすことは、本人と向き合う時間を確保することにつながります。

AURA相談支援は、計画相談支援・障害児相談支援の事業所向けの障害福祉ソフトで、面談音声や記録をもとに、アセスメント、サービス等利用計画案、モニタリング報告書、支援経過記録などの下書きを作成できます(AURAの機能・セキュリティ・データ取扱い)。AIが作るのは確認前の下書きで、本人の意向の反映や最終的な判断は相談支援専門員が行います。音声データは保存開始から7日経過後に削除対象となります(夜間処理のため、削除完了まで最大8日程度)。

導入事例:同行や会議が多くても書類が追いつくように(宮村さん)

福岡県の相談支援専門員・宮村さんは、面談や同行、病院への付き添い、ケース会議が重なり、休日も書類作成に追われていました。AURA相談支援の導入後は、面談音声をもとにした下書きを確認・修正する流れに変わり、1〜2時間かかっていた書類作成が5分ほどになったと話しています。溜まっていた書類も、1か月で80件ほど作成できたそうです(インタビュー全文)。

※インタビューで語られた個別の体験・概数であり、効果を保証するものではありません。

計画や記録の作成を見直したい事業所は、AURA相談支援の資料を受け取るから、使い方や導入事例を確認できます。

よくある質問

地域移行支援の利用に自己負担はありますか?

一般に自己負担はないとされています。地域相談支援給付費は通常要する費用について算定した額とされ、利用者負担を差し引く規定がないためです(個別の取扱いは市町村に確認してください)。

6か月で退院・退所できなかったらどうなりますか?

引き続き支援すれば地域生活への移行が具体的に見込まれる場合は、6か月間の範囲で給付決定期間を更新できます。さらなる更新は、必要に応じて市町村審査会の個別審査を経て判断されます。

刑務所や少年院から出る人も対象ですか?

対象になり得ます。施行規則第6条の11の2で、刑事施設・少年院に収容されている障害者や、更生保護施設に入所している障害者なども対象者に含まれています。

病院の退院支援とは何が違いますか?

病院の退院支援は病院の中の取組で、地域移行支援は地域の一般相談支援事業所が外側から行う障害福祉の相談支援です。厚生労働省は、両者が連携しながら進めるものと説明しています。

地域移行支援の記録はいつまで保存しますか?

地域相談支援の基準第38条で、提供の記録や地域移行支援計画などは、提供した日から5年間保存するとされています。自治体の条例で別の定めがある場合もあるため、所管の窓口に確認してください。

参考資料

本記事は2026年11月7日時点の情報です。

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