相談支援専門員とは、相談支援事業所で障害のある人の相談に応じ、サービス等利用計画を作る専門職です。実務経験を積み初任者研修を修了すると配置でき、以後は5年ごとに現任研修を受けます。
目次
相談支援専門員とは
相談支援専門員は、障害のある人の暮らし全体を見渡し、サービスの組み合わせを本人と一緒に考えて計画にまとめる専門職です。サービスを直接提供するのではなく、本人・家族・事業所・市町村をつなぐ役割を担います。
法律上は、障害者総合支援法の「計画相談支援」(サービス利用支援と継続サービス利用支援)と、児童福祉法の「障害児相談支援」を担当する職員です。指定特定相談支援事業所や指定障害児相談支援事業所には、専らその職務に従事する相談支援専門員を置くことが運営基準で定められています(出典:指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)、指定障害児相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(e-Gov法令検索))。
定義は障害者総合支援法第5条と児童福祉法第6条の2の2にあります(出典:障害者総合支援法(e-Gov法令検索)、児童福祉法(e-Gov法令検索))。制度全体の仕組みは障害者総合支援法とはで整理しています。
運営基準では、計画相談支援はサービスが特定の事業者に不当に偏らないよう「公正中立」に行うことが求められています。
サービス管理責任者との違い
よく比較されるのが、サービス事業所に置かれるサービス管理責任者(サビ管)です。計画をつくる点は同じですが、計画の範囲と所属先が異なります。
| 項目 | 相談支援専門員 | サービス管理責任者 |
|---|---|---|
| 主な所属先 | 指定特定相談支援事業所、指定障害児相談支援事業所など | 生活介護、就労継続支援、共同生活援助などのサービス事業所 |
| 作成する計画 | サービス等利用計画(児童は障害児支援利用計画) | 個別支援計画(各事業所での支援内容) |
| 計画の範囲 | 複数のサービスやインフォーマルな支援を含む生活全体 | 自事業所が提供するサービスの中身 |
| 研修の体系 | 初任者研修、現任研修(5年ごと)、主任研修 | 基礎研修、実践研修、更新研修(5年ごと) |
サービス管理責任者が個別支援計画を作成することは、指定障害福祉サービスの運営基準(例:療養介護は第58条)に定められています(出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索))。サビ管の研修体系は厚生労働省の資料で確認できます(出典:厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について」(社会保障審議会障害者部会 第135回資料5))。2つの計画の関係はサービス等利用計画とはと個別支援計画の書き方で詳しく解説しています。
主な仕事内容
相談支援専門員は、相談の受付から計画づくり、支援が計画どおり進んでいるかの確認までを継続して担います。運営基準第15条に沿って流れを整理します。
計画相談支援の流れ
- 受付・契約:本人や家族、市町村などから相談を受け、事業所の重要事項を説明して契約します。サービス選択に役立つよう、地域の事業所の内容や利用料などの情報を提供します。
- アセスメント:心身の状況、置かれている環境、日常生活全般の状況を把握し、本人が望む暮らしと解決すべき課題を整理します。運営基準では、利用者の居宅等を訪問して本人と家族に面接することが求められています。
- サービス等利用計画案の作成:生活に対する意向、総合的な援助の方針、課題、目標と達成時期、サービスの種類・内容・量などを記載した計画案をつくり、本人に説明して文書で同意を得たうえで交付します。計画案は市町村の支給決定に使われます。
- サービス担当者会議:支給決定を踏まえて計画案を見直し、計画に位置付けたサービスの担当者を招集して会議を開きます。担当者から専門的な意見を聞き、本人の意向を改めて確認します。会議はテレビ電話装置等を活用して行うこともできます。
- 計画の確定:会議を踏まえた計画について本人に説明して文書で同意を得て、本人と各サービスの担当者に交付します。
- モニタリング:決められた期間ごとに居宅等を訪問して本人に面接し、計画の実施状況を確認して結果を記録します。必要に応じて計画を変更したり、新たな支給申請を勧めたりします。
出典:指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準 第15条(e-Gov法令検索)
モニタリングの頻度
モニタリングの間隔は一律ではありません。障害者総合支援法施行規則第6条の16に示された期間を勘案して、市町村が利用者ごとに必要と認める期間を決めます。主な目安は次のとおりです。
| 利用者の状況(主な例) | 期間の目安 |
|---|---|
| 支給決定や変更でサービスの種類・内容・量が大きく変わった人(利用開始から3か月まで) | 1か月ごと |
| 施設退所などで集中的な支援が必要な人、単身などで事業所との連絡調整が自分では難しい人など | 1か月ごと |
| 就労選択支援を利用する人 | 1か月ごと |
| 居宅介護、就労移行支援、自立訓練などを利用する人、65歳以上の人(介護保険のケアマネジメントを利用する人を除く)など | 3か月ごと |
| 上記以外の人(施設入所支援を利用する人など) | 6か月ごと |
出典:障害者総合支援法施行規則 第6条の16(e-Gov法令検索)。正確な範囲は条文で確認してください。モニタリング報告書の書き方はモニタリングシートの書き方とテンプレートで解説しています。
関係機関との調整
計画づくり以外にも、運営基準では次のような連絡調整や支援が定められています。
- サービス事業所、市町村、医療機関などとの日常的な連絡調整
- 在宅での生活が難しくなった場合や、本人が施設入所・入院を希望する場合の紹介
- 障害者支援施設や精神科病院などから退所・退院する人への情報提供と助言
- 就労移行支援・就労継続支援の利用者について、就労選択支援が必要と考えられる場合の事業所との連携
このほか、地域の一般的な相談に応じる「基本相談支援」も大切な業務です。
必要な資格と要件
相談支援専門員になるために、特定の国家資格は必須ではありません。必要なのは、一定年数の実務経験と相談支援従事者初任者研修の修了の2つです。配置された後は、5年ごとに現任研修を修了して要件を更新します。根拠は「指定計画相談支援の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの」(平成24年厚生労働省告示第227号)などの告示です(出典:厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」)。
実務経験の年数
実務経験は、障害者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野での相談支援や直接支援などの業務が対象で、業務の種類と保有資格によって必要な年数が3年から10年に分かれます。
| 区分 | 対象となる業務・人の例 | 必要な通算年数 |
|---|---|---|
| 相談支援の業務 | 相談支援事業、児童相談所、福祉事務所、障害者支援施設、特別支援学校の進路相談などでの相談業務 | 5年以上 |
| 介護等の業務 | 障害者支援施設、障害福祉サービス事業、障害児通所支援事業などでの入浴・排せつ・食事などの介護 | 10年以上 |
| 有資格者による介護等の業務 | 社会福祉主事任用資格、保育士、児童指導員任用資格、介護職員初任者研修相当の修了者などが行う介護等の業務 | 5年以上 |
| 国家資格者による相談支援・介護等の業務 | 医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師などの資格に基づく業務に5年以上従事した人が行う業務 | 3年以上 |
出典:厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」。病院・診療所での相談業務は、社会福祉主事任用資格などの一定の要件を満たす人に限って対象になるなど、細かな条件があります。
実務経験の期間や日数の数え方、証明書の様式は、研修を実施する都道府県の案内で定められています。受講を考えている場合は、勤務先の所在地の都道府県の募集要項を必ず確認してください。
相談支援従事者研修の体系
研修は都道府県(または指定研修機関)が実施します。2020年度のカリキュラム改定後の時間数は次のとおりです。
| 研修 | 時間数 | 受講のタイミング | 修了後 |
|---|---|---|---|
| 初任者研修 | 42.5時間(講義・演習・実習) | 実務経験の要件を満たしたとき | 相談支援専門員として配置できる |
| 現任研修 | 24時間(講義・演習) | 5年ごと | 引き続き配置できる |
| 主任相談支援専門員研修 | 30時間(講義・演習) | 相談支援専門員として一定の経験を積んだ後 | 主任相談支援専門員として配置できる |
出典:厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」
現任研修の受講要件と期限
現任研修を受けるには、次のいずれかの実務経験が必要です。ただし、初任者研修を修了した後に初めて現任研修を受けるときは、必ず1の要件を満たす必要があります。
- 過去5年間に2年以上の相談支援の実務経験がある
- 現に相談支援の業務に従事している
出典:厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」
受講期限の数え方は、例えば千葉県では「初任者研修を修了した年度の翌年度を初年度とする5年間ごとに1回」と案内されています。期限内に修了しないと任用資格の要件が失効し、相談支援専門員として働き続けるには初任者研修を受け直す必要があるとされています(出典:千葉県「令和8年度千葉県相談支援従事者現任研修」)。大阪府も同様に、初任者研修を修了した翌年度を初年度とする5年度ごとの各年度末日までに現任研修を修了する必要があると案内しています(出典:大阪府「相談支援専門員のみなさまへ」)。
期限が近づいても個別の案内がない場合があります。初任者研修の修了年度は本人と事業所の双方で記録しておきましょう。
主任相談支援専門員とは
主任相談支援専門員は、地域づくり、人材育成、困難事例への対応など、地域の中核的な役割を担う相談支援専門員です。国の資料では、主任相談支援専門員研修(30時間)を設けた目的として、こうした人材の育成と相談支援専門員のキャリアパスの明確化が挙げられています。厚生労働省の資料では、現任研修の修了後に3年以上の実務経験を経て主任研修に進む流れが示されており、主任研修を修了すると現任研修を修了したものとみなされます(出典:厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」)。
受講の要件は都道府県ごとに定められています。例えば兵庫県では、基幹相談支援センター等で指導的役割を担っている人などを対象に、市町からの推薦により受講する仕組みです(出典:兵庫県「相談支援従事者研修『研修体系・受講要件』について」)。
1日の業務の流れ
相談支援専門員の1日は、利用者宅への訪問、会議、事務所での書類作成の組み合わせです。訪問先や会議の予定は日によって大きく変わります。以下は、指定特定相談支援事業所に勤める相談支援専門員を想定した架空の例です。
| 時間 | 業務 | 内容とポイント |
|---|---|---|
| 8:45 | 出勤・予定確認 | メールと電話を確認し、訪問先を確認する |
| 9:30 | モニタリング訪問(1件目) | 利用者宅で本人と家族に面接し、サービスの利用状況や困りごとを聞き取る |
| 11:00 | モニタリング訪問(2件目) | グループホームで本人と面接し、世話人から日中の様子を聞く |
| 12:00 | 移動・昼休憩 | 移動の合間に聞き取り内容をメモに整理する |
| 13:30 | サービス担当者会議 | 就労継続支援事業所で、計画案について各担当者から意見を聞き、本人の意向を確認する |
| 15:00 | 電話・連絡調整 | 新規相談の面談日を調整し、市町村に申請状況を確認する |
| 15:45 | 書類作成 | モニタリング報告書と会議の記録を作成し、計画の変更が必要かを検討する |
| 17:00 | 記録入力・翌日準備 | 支援経過記録を入力し、翌日の訪問資料を準備する |
| 17:45 | 終業 | 判断に迷う事例は翌朝共有するためメモを残す |
このように外出が続く日は、書類作成が夕方に集中しがちです。モニタリングが重なる月は記録が後回しになりやすくなります。
向いている人
- 本人の話をじっくり聞き、言葉になりにくい希望をくみ取れる人
- 事業所、医療機関、市町村など立場の違う人の意見を調整できる人
- 聞き取った内容を、第三者にも伝わる文章で記録・計画にまとめられる人
- 複数の利用者の訪問期限や書類の締め切りを自分で管理できる人
働くうえでの注意点
- 公正中立を守る:運営基準第26条では、相談支援専門員が利用者に特定の事業者のサービスを利用するよう指示することなどが禁じられています。同じ法人のサービス事業所が併設されている場合も、本人の選択を優先します。
- 一人で抱え込まない:虐待が疑われる事例や医療との連携が必要な事例は、事業所内や基幹相談支援センターなどと早めに共有します。
- 移動と時間の管理:訪問が中心の仕事のため、移動時間を含めた予定の組み方が業務量を大きく左右します。
- 研修期限の管理:現任研修の期限を過ぎると要件が失効するため、受講計画を早めに立てます。
書類業務の負担と時短の工夫
面接や会議の内容を正確に記録に残すことは欠かせません。担当する利用者が増えるほど書類も増えるため、記録の進め方の工夫が働きやすさに直結します。
担当件数と書類の量
運営基準第3条では、相談支援専門員の員数の標準を、利用者の数が35人またはその端数を増すごとに1人としています。利用者の数は前6か月の平均値で数えます。つまり、相談支援専門員1人がおおむね35人前後を担当することが標準として想定されています。
また運営基準第30条では、利用者ごとに次の記録を「相談支援台帳」として整備し、提供した日から5年間保存することが定められています。
| 記録 | 作成する主な場面 | 主な内容 |
|---|---|---|
| サービス等利用計画案・サービス等利用計画 | 新規利用時、計画変更時 | 意向、援助方針、課題、目標、サービスの種類・量 |
| アセスメントの記録 | 計画作成・変更の前 | 心身の状況、環境、生活全般の状況、課題 |
| サービス担当者会議等の記録 | 会議の開催後 | 出席者、担当者の意見、本人の意向、決定事項 |
| モニタリングの結果の記録 | モニタリング期間ごと | サービスの実施状況、満足度、課題、計画変更の要否 |
| 連絡調整に関する記録 | 事業所や関係機関とのやり取りのたび | 日時、相手、内容、対応 |
出典:指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準 第3条・第30条(e-Gov法令検索)
35人前後を担当すれば、訪問のたびに報告書と経過記録を作ることになり、面接後の清書に多くの時間がかかります。
記録をAIで下書きする方法
書類の時短には、様式の統一やテンプレートの活用に加えて、AIで記録の下書きを作る方法があります。進め方の一例は次のとおりです。
- 同意と運用ルールを確認する:面談の録音やAIの利用について本人の同意を得る手順と、個人情報の取り扱いを事業所の規程で決めておきます。
- 面談の素材を集める:同意を得たうえで面談音声を記録するか、聞き取りメモや事業所から受け取った資料を用意します。
- AIで下書きを作る:素材をもとに、アセスメントやモニタリング報告書の項目に沿った下書きを作成します。
- 相談支援専門員が確認・修正する:事実と解釈が混ざっていないか、本人の言葉が正しく反映されているかを確認し、必要な判断を書き加えます。
- 本人への説明に使う:確定した計画は、本人が理解しやすい言葉で説明し、同意を得ます。
AIは下書きの担い手で、判断や計画の内容を決めるのは相談支援専門員です。障害福祉分野でのAIの使い方は障害福祉AIとはでも紹介しています。
こうした下書き作成を相談支援の業務に合わせて行うツールの一つが、計画相談支援・障害児相談支援向けの障害福祉AI「AURA相談支援」です。面談音声や資料からアセスメント、サービス等利用計画案、モニタリング報告書、支援経過記録などの下書きを作成し、相談支援専門員が確認・判断する使い方を想定しています。なお、国保連請求機能は開発中です(2026年7月14日時点)。
よくある質問
未経験から相談支援専門員になれますか?
福祉や医療などの実務経験がまったくない状態から、すぐに相談支援専門員になることはできません。まずは障害福祉サービス事業所などで直接支援や相談の業務に就き、必要な年数(3年から10年)の実務経験を積んだうえで初任者研修を修了する流れになります。
担当件数の目安は何件ですか?
運営基準上の標準は、相談支援専門員1人につき利用者35人(前6か月の平均)です。報酬面でも、相談支援専門員1人当たりの取扱件数によって基本報酬の算定方法が分かれる仕組みが設けられています。
この仕組みは平成30年度の報酬改定で導入され、例えば障害児相談支援の告示では取扱件数が40以上の部分を低い区分の基本報酬で算定するとされました(出典:厚生労働省告示第103号(平成30年3月22日))。現在の区分や単位数は、最新の報酬告示と留意事項通知で確認してください。
資格の更新は必要ですか?
必要です。初任者研修を修了した翌年度から数えて5年度ごとに現任研修を修了しないと要件が失効し、改めて初任者研修からの受講が必要になります。
相談支援専門員は国家資格ですか?
国家資格ではありません。告示で定められた実務経験と、都道府県が実施する相談支援従事者研修の修了によって配置要件を満たす仕組みです。
研修はどこで受けられますか?
都道府県、または都道府県が指定した研修機関が実施する研修を受講します。募集時期や定員は都道府県ごとに異なるため、早めに募集要項を確認しましょう。
参考資料
- 厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」
- 指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第28号)|e-Gov法令検索
- 児童福祉法に基づく指定障害児相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第29号)|e-Gov法令検索
- 障害者総合支援法|e-Gov法令検索
- 障害者総合支援法施行規則|e-Gov法令検索
- 児童福祉法|e-Gov法令検索
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)|e-Gov法令検索
- 厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について」(社会保障審議会障害者部会 第135回 資料5)
- 厚生労働省告示第103号(平成30年3月22日、指定障害児相談支援に要する費用の額の算定に関する基準の一部改正)
- 千葉県「令和8年度千葉県相談支援従事者現任研修」
- 大阪府「相談支援専門員のみなさまへ」
- 兵庫県「相談支援従事者研修『研修体系・受講要件』について」
本記事は2026年10月21日時点の情報です。

