返戻とは?障害福祉の国保連請求で返戻になる原因と防ぎ方・再請求の手順

公開日:2026/10/23

返戻とは?障害福祉の国保連請求で返戻になる原因と防ぎ方・再請求の手順

障害福祉の返戻とは、事業所が国保連に送った請求情報が審査で「エラー」となり、支払われずに差し戻されることです。返戻された請求は、事業所が内容を直し、通常は翌月の請求期間(1日〜10日)に再請求します。

この記事では、返戻と警告・過誤の違い、請求の流れとスケジュール、エラーコードから見た主な原因と防ぎ方、返戻後の対応手順、請求前のチェックリストを、国民健康保険中央会・国保連・厚生労働省の公開資料をもとに整理します。

目次

  1. 障害福祉の返戻とは(返戻・警告・過誤の違い)
  2. 国保連請求の流れとスケジュール
  3. 返戻になる主な原因(エラーコード別)
  4. 原因別の防ぎ方
  5. 返戻されたときの対応手順
  6. 過誤申立てが必要な場合
  7. 請求前のチェックリスト
  8. 請求業務の負担を減らす方法
  9. よくある質問
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  11. 参考資料

障害福祉の返戻とは(返戻・警告・過誤の違い)

国民健康保険中央会の請求事務ハンドブック(令和6年5月版)では、返戻を「何らかの不備により審査で『エラー』となった請求情報が、支払が行われずサービス提供事業所に差し戻されること」と説明しています。支払を受けるには、差し戻された請求情報を修正して再請求する必要があります。

障害福祉サービス費の審査は、国保連の「一次審査」と市町村等の「二次審査」の2段階です。国保連は事業所台帳・受給者台帳と請求情報を照らし合わせ、結果を「正常」「警告」「警告(重度)」「エラー」に分けます。警告は機械的に判断できないもので、市町村等が二次審査で支払か返戻かを判断します(厚生労働省 社会保障審議会障害者部会 資料)。

返戻・警告・過誤・査定の違い
用語どの段階で起きるか支払事業所の対応
返戻(エラー)一次審査または二次審査で不備が見つかったとき(支払確定前)支払われない内容を修正して国保連に再請求
警告・警告(重度)一次審査で機械的に判断できないとき二次審査の結果による(支払われることもある)内容を確認し、誤りがあれば過誤(取下げ)と再請求を検討
過誤(取下げ)支払確定後に誤りが分かったとき支払済みの額を後の支払から相殺市町村等に過誤申立てを依頼し、必要に応じて再請求
査定医療保険のレセプト審査で使われる用語不適切と判断された部分が減額される障害福祉の公開資料では審査区分として示されていない

査定については、社会保険診療報酬支払基金が診療報酬の審査で「適切でないと判断されるものについては査定」すると説明しています。一方、本記事で確認した障害福祉の資料(国保中央会・厚生労働省・宮城県国保連)では、審査結果は正常・警告・エラー(返戻)で整理されており、「査定」という区分は見当たりませんでした。

国保連請求の流れとスケジュール

障害福祉サービス費の請求期限は法令で決まっています。介護給付費等の請求に関する命令(平成18年厚生労働省令第170号)第5条は「各月分について翌月十日までに行わなければならない」と定めています。請求は電子情報処理組織(インターネット)で行うのが原則です。

  1. 当月:利用者にサービスを提供し、サービス提供実績記録票などに記録する
  2. 翌月1日〜10日:請求書・請求明細書・サービス提供実績記録票(上限額管理事業所は利用者負担上限額管理結果票も)を電子請求受付システムで国保連に送る
  3. 国保連が一次審査を行い、結果を市町村等に送る
  4. 市町村等が二次審査を行い、支払か返戻かを決める
  5. 国保連から返戻等一覧表や支払決定額通知書などが届く
  6. 国保連から事業所に給付費が支払われる

締切の時刻や通知・支払の日は国保連ごとの日程表で決まります。例として、宮城県国保連の令和8年度日程表から令和8年10月請求分を抜き出すと次のとおりです。

日程の例:宮城県国保連・令和8年10月請求分
項目日付補足
仮審査対応締切日10月7日この日までに送った請求は仮審査の対象
受付締切日10月10日土日祝でも10日17時15分まで
返戻関係通知送信日10月31日返戻等一覧表などが届く
支払日11月20日請求月の翌月に支払

宮城県国保連の電子請求の案内では、締切の2営業日前を基準日に「仮審査」を行い、エラーや警告を締切前に知らせています。仮審査の有無や日程は都道府県で異なるため、自分の事業所の請求先の国保連で確認してください。

返戻になる主な原因(エラーコード別)

返戻の原因は、大きく「受給者台帳(市町村が登録する支給決定の情報)との不一致」「事業所台帳(都道府県等が登録する指定・体制の情報)との不一致」「上限額管理の不整合」「重複・記載誤り」に分けられます。国保中央会の請求事務ハンドブックと宮城県国保連のエラーコード対応マニュアルに載っている代表例は次のとおりです。

返戻・警告の主な原因と代表的なエラーコード
原因の分類代表的なコード内容主な確認先
受給者証番号・市町村番号の誤りEG02受給者台帳に有効な認定情報がない(番号の入力誤りなど)受給者証・市町村
受給資格の喪失EG20転出などで受給資格を失った受給者で請求している受給者証・市町村
支給決定内容との相違EG03、EG13、EH11支給決定のないサービスや、支給決定期間外の月で請求している受給者証・市町村
上限額管理の不整合EG05、EG17、EJ08、PP08上限額管理事業所の番号違い、管理結果の不正、結果票に事業所の記載漏れ受給者証・上限額管理事業所
事業所台帳との不一致EE01、EF18サービス提供年月時点で有効な事業所情報・指定期間が登録されていない指定権者(都道府県等)
加算の算定要件EG41、PB78(警告重度)受給者台帳や体制届の内容と、算定した加算が合っていない市町村・指定権者
重複請求EC01、ED01同じ月に同じ請求を複数回送った、または支払確定済みの請求を再度送った自事業所の送信履歴
明細書と実績記録票のずれPP19、PQ84明細書が返戻になり実績記録票も返戻、または提供量が実績を超えている自事業所の記録

支給量の超過(EG27、EG38、原則の日数を超えるEG60など)は、ハンドブックでは「警告」として扱われ、市町村等が返戻とするかを判定すると説明されています。コードの区分は改定や審査の見直しで変わることがあり、ハンドブックは警告からエラーへの移行が段階的に進められていることにも触れています。最新のコードは請求先の国保連の資料で確認してください。

原因別の防ぎ方

返戻の多くは、受給者証や届出の内容と請求データのずれから起きます。原因ごとに、確認すること、よくある誤り、書き換え例を整理します(例はすべて架空の事例です)。

受給者証の情報の不一致を防ぐ

ハンドブックは、受給者証を月に1回確認し、受給資格が続いているかを確かめるよう勧めています。支給決定の期限が近い利用者には、更新申請の状況を早めに確認します。障害児が18歳になり障害者の受給者証に切り替わったときは、受給者証番号が変わる点にも注意が必要です。

加算・体制届との不一致を防ぐ

体制等の届出の内容は事業所台帳に登録され、請求明細書の加算と照合されます。ハンドブックによると、単位数が増える加算は、届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定できます。届出前の月に加算を付けていないか、報酬改定で届出項目が変わっていないかを確認します。電子請求受付システムでは、自事業所の事業所台帳の情報を参照できます。加算の種類は就労移行支援の加算一覧も参考にしてください。

上限額管理のミスを防ぐ

複数の事業所を利用し、利用者負担の合計が負担上限月額を超えそうな利用者は、上限額管理の対象です。上限額管理事業所は、関係事業所から利用者負担額一覧表を受け取り、利用者負担上限額管理結果票を作って関係事業所に送ります。杉並区の事業所説明会資料(令和7年3月)では、一覧表の提出を翌月3日まで、結果票の送付を翌月6日までとしています。結果票を誤ると他の事業所の請求にも影響するため、送る前に内容を見直します。

支給量・契約支給量の超過を防ぐ

就労移行支援や就労継続支援は、支給量管理の対象サービスです。契約したら受給者証の事業者記入欄に契約支給量などを書き、「契約内容(障害福祉サービス受給者証記載事項)報告書」で市町村等に遅滞なく報告します。利用日数が原則の日数(その月の暦日数から8日を引いた日数)を超えていないかも確認します。

重複請求・記載誤りを防ぐ

締切前に誤りに気づいたら、電子請求受付システムで請求を取り下げてから送り直します。支払が確定した請求を直すときは、先に市町村等へ過誤申立てを依頼します。

よくある誤りと書き換え例(架空の事例)
よくある誤り起きやすいエラー書き換え例・正しい対応
転居した利用者を、前の市町村の受給者証番号のまま請求したEG20転入先の市町村が発行した新しい受給者証の番号・市町村番号で請求する
体制届を20日に出した加算を、翌月分から算定した加算の不一致16日以降の届出なので翌々月分から算定する
上限額管理結果票に、関係事業所の1か所を書き漏らしたPP08上限額管理事業所が結果票を作成区分「修正」で送り直す
誤りに気づき、取下げをせずに同じ月にもう一度送ったEC01締切前なら1回目の請求を取り下げてから再送する
支払済みの月の請求を、そのまま正しい内容で送り直したED01市町村等に過誤申立てを依頼してから再請求する

返戻されたときの対応手順

返戻等一覧表には、返戻となった請求明細書・実績記録票・上限額管理結果票とエラーコードが載っています。すべて正常なら一覧表は届きません。対応は次の順で進めます。

  1. 返戻等一覧表で、対象の利用者・サービス提供年月・帳票の種類・エラーコードを確認する
  2. エラーコードの説明から、原因が自事業所の入力か、受給者台帳・事業所台帳の登録かを切り分ける
  3. 受給者証や体制届の控えと請求データを見比べる。内容が正しければ、市町村等(受給者台帳)や指定権者(事業所台帳)に状況を問い合わせる
  4. 請求データを修正する。請求明細書を再送するときは、実績記録票も一緒に提出する
  5. 次の請求期間(翌月1日〜10日)に再請求する。市町村等の台帳の修正を待つ場合は、修正の時期を確認してから送る
  6. 翌月の通知で、再請求分が支払決定されたかを確認する

返戻は「支払確定前の差し戻し」なので、過誤申立ては不要です。返戻された請求をそのまま修正して新しく送ります。返戻になっていない利用者の分まで再送すると、重複エラーになるので注意してください。

過誤申立てが必要な場合

支払が確定した請求に誤りが見つかったときは、返戻ではなく過誤(取下げ)の手続きになります。宮城県国保連の「過誤(取下げ)について」では、過誤を「既に支払を受けた介護給付費等を取下げし、請求する前の状態に戻すこと」と説明しています。

  1. 事業所が、受給者証を発行した市町村等に過誤申立て(取下げ)を依頼する。依頼書の様式と提出期限は市町村等の案内に従う
  2. 市町村等が、過誤申立書情報を国保連に送る
  3. 国保連が過誤処理を行い、その後の支払額から取り下げた分を相殺する
  4. 事業所は、正しい内容で再請求する(過誤申立てと同じ月に再請求する「同月過誤」と、翌月以降に再請求する「通常過誤」がある)

過誤は請求明細書単位で処理され、1枚の明細書に複数のサービスがあれば全部が取下げの対象になります。明細書を取り下げると実績記録票も取り下げられるため、再請求では実績記録票も提出します。相殺しきれない場合は、事業所から現金で返すことになると案内されています。

請求前のチェックリスト

国保中央会のハンドブック付録「請求時のチェックポイント」をもとに、毎月の送信前に確認したい項目をまとめました。

請求前のチェックリスト
分類確認すること確認の目安
受給者証サービスに対応する受給者証か、番号・市町村番号に誤りがないか月1回は受給者証を見る
受給者証支給決定の内容・期間とサービス提供月が合っているか更新時期が近い利用者は特に確認
体制届明細書の加算が、届け出た体制の内容と合っているか報酬改定後は届出項目の変更も確認
上限額管理利用者が上限額管理の対象か、結果票を正しく作ったか明細書の管理結果額と結果票が対応しているか
支給量契約支給量を受給者証に書き、報告書を出したか複数事業所の契約支給量の合計が決定支給量以内か
実績実績記録票と明細書の日数・回数・時間が一致しているか利用日数が原則の日数を超えていないか
送信同じ請求を二重に送っていないか、締切時刻に間に合うか仮審査がある国保連では結果を確認

請求業務の負担を減らす方法

国保中央会の簡易入力システムや取込送信システムは、請求情報の作成時・送信時に点検を行います。市販の請求ソフトにも、送信前に入力漏れや矛盾を知らせるエラーチェック機能を持つものがあります。ただし、ソフトのチェックで分かるのは主にデータの形式や組み合わせで、受給者証の更新や体制届の変更が台帳に反映されているかは、人が確認する必要があります。

もう1つの工夫は、支援記録・実績・請求のデータを別々に入力しないことです。記録を請求用の表に転記する作業が多いほど、時間のずれや日数の数え間違いが起きやすくなります。ソフトの比較の観点は障害福祉ソフト比較でも整理しています。

AURA就労支援は、就労移行支援・就労継続支援A型/B型向けの障害福祉AIで、利用者管理、支援記録、実績、国保連請求まで一つの環境で扱えます。面談音声や支援記録からアセスメントや個別支援計画書などの下書きを作り、職員が確認・修正する仕組みです。書類と請求の作業を減らし、職員が利用者と向き合う時間を確保することをねらいとしています。

アイランド(大阪市・就労継続支援B型)の例

eスポーツに特化した就労継続支援B型事業所「アイランド」の鎌田さんは、AURA導入前、請求業務が1日がかりで、国保連からエラーで戻ってきた箇所を1000行以上のExcelデータから探していたと話しています。導入後は月末月初の負担が軽くなり、返戻があってもエラー箇所を直して翌月の請求に回せるようになったといいます。心配と手間が減った分、利用者さんと向き合う時間に集中できるようになったと語っています(インタビュー全文)。数値はインタビューで語られた個別の体験・概数で、すべての事業所で同じ結果になることを示すものではありません。

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よくある質問

返戻されたらいつまでに再請求すればよいですか

宮城県国保連では返戻等一覧表を毎月末ごろ送信しており、通常は翌月の請求期間(1日〜10日)に修正して再請求します。受給者台帳などの修正を待つ場合は、市町村等に反映の時期を確認してから送ってください。

警告が出た請求は支払われますか

警告は市町村等の二次審査で支払か返戻かが決まるため、支払われることもあります。ただし、支払後に誤りと分かれば過誤(取下げ)と再請求が必要になるので、内容は確認してください。

障害福祉の請求にも査定(減額)はありますか

本記事で確認した国保中央会・厚生労働省の資料では、障害福祉の審査結果は正常・警告・エラー(返戻)で整理され、査定という区分は示されていません。請求額に疑問がある場合は、請求先の市町村等や国保連に確認してください。

同じ請求を2回送ってしまったらどうなりますか

同じ月に重複して送った場合は1回目だけが受け付けられ、2回目以降はEC01で返戻になります。1回目の内容が正しければ対応は不要で、誤っていた場合は市町村等への過誤申立てが必要です。

返戻をそのままにするとどうなりますか

返戻された請求は、再請求しない限り支払われません。ハンドブックでは、請求権には地方自治法第236条第1項にもとづく5年の消滅時効が適用されると説明されているため、早めに再請求してください。

参考資料

本記事は2026年10月23日時点の情報です。

面談から書類・記録・請求まで。
障害福祉の業務をつなぐAI「AURA」
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AURAは、福祉・行政・地域の現場と共に進化する障害福祉AIです。
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