障害福祉ソフトの乗り換え|失敗しないための確認ポイントと移行手順

公開日:2026/10/24

障害福祉ソフトの乗り換え|失敗しないための確認ポイントと移行手順

障害福祉ソフトの乗り換えでは、事業所の管理者が契約前に、データ移行の範囲、過去記録の5年保存、請求の切り替え月、解約条件、個人情報の委託先を確認し、請求月をまたがない手順で移行します。

請求ソフトを残して書類作成だけを別のソフトで効率化する「併用」も選択肢です。この記事では就労系サービスと計画相談支援の事業所を想定し、比較、確認ポイント、移行スケジュール例、よくある失敗、職員への定着までを整理します。製品名は挙げず、ソフトの種類で説明します。

目次

  1. 障害福祉ソフトの乗り換えを検討するきっかけ
  2. 全面乗り換えと併用(請求ソフトはそのまま)の比較
  3. 乗り換え前の確認ポイント一覧
  4. データ移行の範囲・形式と過去記録の保存義務
  5. 請求の切り替え月の決め方
  6. 個人情報と委託先の確認
  7. 移行スケジュール例(請求月をまたがない手順)
  8. よくある失敗と防ぎ方
  9. 職員への定着の進め方
  10. AURAの使い方・導入事例
  11. よくある質問
  12. 関連記事
  13. 参考資料

障害福祉ソフトの乗り換えを検討するきっかけ

乗り換えの検討は、事業所の状況が変わり、今のソフトの役割と合わなくなったときに始まることが多いです。

乗り換えを検討する主なきっかけ
きっかけ現場で起きていることまず考えたいこと
書類作成に時間がかかる面談メモからアセスメントや計画書、モニタリングを清書している書類作成だけを補う併用で足りるか
入力が二重・三重になる記録、実績、請求、計画書で同じ利用者情報を何度も入力している記録から請求までを一つにまとめるか
請求の確認に追われる月初の請求前チェックや返戻対応に時間がかかる請求前チェックと返戻対応の流れ
契約の更新時期自動更新の前に、機能やサポートを見直したい解約予告の期限と移行にかかる期間

最初に「何に困っているのか」を書き出すと、全面的に乗り換えるか、一部だけ別のソフトに任せるかが見えやすくなります。困りごとが書類作成に集中しているなら、請求まで含めた乗り換えは必須ではありません。

全面乗り換えと併用(請求ソフトはそのまま)の比較

「今の請求ソフトはそのままで、書類作成だけをAIで効率化できるか」という相談はよくあります。結論として、書類作成に特化したAIサービスを今の請求ソフトと併用する方法はあります。一方、記録・実績・請求の二重入力に困っている場合は、全面乗り換えの方が負担を減らせることもあります。

全面乗り換えと併用の比較
観点全面乗り換え併用(請求ソフトはそのまま+書類作成を別ソフト)
向いている事業所記録・実績・請求の二重入力や請求前の確認に困っている請求は安定しており、書類作成に時間がかかっている
請求への影響切り替え月の設計と、初回請求の慎重な確認が必要請求の流れは変わらない
データ移行利用者・受給者証情報、加算の設定などの移行が必要書類作成に必要な範囲だけでよい
入力の手間一つの環境にまとまれば入力回数を減らせる二つのソフトの間で転記や整合確認が残る
費用旧ソフトとの重複期間の費用が出やすい二つのソフトの費用が続く
個人情報の管理委託先は原則一つ委託先が二つになり、それぞれ確認が必要

書類作成を補うサービスには、障害福祉の様式に合わせて下書きを作る専用のAIサービス、記録・請求一体型ソフトのAI機能、汎用の生成AIなどがあります。汎用の生成AIを使う場合は、個人情報を入力してよいか、入力内容がモデル学習に使われないかを事前に確認します。種類ごとの違いは障害福祉ソフト比較で整理しています。

併用では、どちらのソフトに確認済みの書類を保存し、どの様式で出力するかを先に決めておくと、運営指導で書類の所在に迷いません。

乗り換え前の確認ポイント一覧

乗り換えで困るのは、契約後に「その項目は移せない」「解約の申し出期限を過ぎていた」と分かるケースです。契約前に確認したい項目を一覧にしました。

乗り換え前に確認したい項目
確認項目確認すること主な確認先
データ移行の範囲と形式何を、どの形式で、誰が移すか。移せない項目は何か新旧両方のソフト会社
過去記録の保存旧ソフトの記録を5年間どう保存し、出力するか運営基準・指定権者、旧ソフト会社
請求の切り替え月どのサービス提供月から新ソフトで請求するか新ソフト会社、国保連の案内
契約期間・解約条件最低利用期間、自動更新、解約予告期限、解約後のデータ旧ソフトの契約書・利用規約
自治体様式・帳票自治体が求める様式で出力できるか指定権者・市町村
権限設定職種・事業所ごとに閲覧・編集の範囲を分けられるか新ソフト会社
個人情報・委託先保存場所、暗号化、外部AIサービスの利用条件、再委託新ソフト会社の公開資料・契約書

契約期間・解約条件

旧ソフトの契約書で、最低利用期間、自動更新の有無、解約の申し出期限、解約月の料金の扱いを確認します。解約後に過去データを出力できる期間と形式、削除の時期も確認します。新ソフトは、試用中に入力したデータを本契約で引き継げるかも聞いておきます。

自治体様式・帳票

個別支援計画やサービス等利用計画、モニタリング報告書は、自治体が様式例を示していたり、事業所が独自の様式を使っていたりします。新しいソフトで求められる様式を出力できるか、今の様式を持ち込めるかを確認します。

権限設定

管理者、サービス管理責任者・相談支援専門員、支援員、事務担当など、職種によって見てよい情報と編集してよい情報は異なります。事業所ごとに閲覧範囲を分けられるか、退職者のアカウントをすぐ止められるかも確認します。

データ移行の範囲・形式と過去記録の保存義務

データ移行は、「新しいソフトで業務を回すために必要なデータ」と「保存しておくべき過去の記録」を分けて考えると整理しやすくなります。

データ移行の範囲を決める目安(就労支援の例)
データの種類移行の考え方よくある誤り
事業所情報・加算の届出状況請求に直結するため、新ソフトで設定し直して照合する旧ソフトの設定を信じ、届出内容と照合しない
利用者の基本情報・受給者証情報現在の利用者分を移し、支給期間・支給量・上限額を照合する更新前の古い受給者証情報が移る
現在有効な計画次回のモニタリングで使うため、参照できる形で移す作成日・同意日が分からなくなる
過去の支援記録・実績全件移行にこだわらず、旧ソフトからの出力で閲覧できる状態を確保する旧ソフトの解約後に欠落に気づく

移行の形式には、出力ファイル(CSVなど)、帳票のPDF出力、手入力などがあり、対応はソフトによって異なります。旧ソフトで出力できる項目と新ソフトで取り込める項目の両方を確認し、移せない項目の扱いを決めます。

運営基準では、就労移行支援・就労継続支援A型/B型の個別支援計画やサービス提供の記録などを、サービスを提供した日から5年間保存することとされています(指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第75条(就労系は準用))。計画相談支援も、サービス等利用計画やアセスメント、モニタリングの記録などを5年間保存することとされています(指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準 第30条)。

保存期間は自治体の条例で別に定められている場合もあるため、指定権者の条例・要綱も確認してください。両基準とも、書面に代えて電磁的記録で作成・保存できる規定があります(前者は第224条、後者は第31条)。旧ソフトの解約前に、保存期間中の記録を誰が、どこで、どの形式で保管するかを決めておきます。

請求の切り替え月の決め方

給付費の請求は、各月分を翌月10日までに行うこととされています(介護給付費等の請求に関する命令 第5条)。宮城県国保連の案内では、提出期間は毎月1日から10日までです(宮城県国保連「障害福祉サービス費等の電子請求について」)。乗り換えでは、サービス提供月と請求する月がずれる点を意識します。

基本は、1つのサービス提供月の記録と実績を1つのソフトで完結させることです。月の途中で入力先を変えると、実績と請求データの突き合わせが難しくなります。新ソフトでの入力は月初から始め、その月の分を翌月に新ソフトで請求し、前月分は旧ソフトで請求します。

請求の切り替え月を決めるときの確認事項
確認事項理由確認方法
新ソフトで記録を始める月月初から始めると、その月の実績と請求がそろう研修日程と初期設定の完了日から逆算する
旧ソフトでの最後の請求月前月分の請求と返戻対応は旧ソフトで行うことが多い解約日が最後の請求と返戻確認の後か
電子請求の送信環境電子請求受付システムで請求するには、使用するパソコンへの電子証明書のインストールが必要とされている(宮城県国保連の案内)新ソフトでの送信方法と証明書の有効期限
報酬改定との重なり改定の施行月は設定変更が多く、確認が増える改定の施行時期と新ソフトの対応時期

報酬改定の内容は厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定のページで公表されます。返戻や過誤の仕組みは返戻とは?障害福祉の国保連請求で返戻になる原因と防ぎ方で説明しています。

個人情報と委託先の確認

事業所は個人データの安全管理措置を講じる必要があり、取扱いを委託する場合は委託先を監督する義務があります(個人情報保護法 第23条・第25条)。個人情報保護委員会のガイドラインでは、委託先の監督として「適切な委託先の選定」「委託契約の締結」「委託先における個人データ取扱状況の把握」が示されています(個人情報保護委員会「ガイドライン(通則編)」3-4-4)。

ソフト会社に確認したい個人情報の項目
確認項目確認することよくある誤り
保存場所と通信保存場所、通信の暗号化、バックアップ「クラウドだから安全」と内容を確認しない
外部AIサービスの利用入力データがモデル学習に使われるかAI機能の部分だけ確認が漏れる
音声・ファイルの保存期間面談音声などをいつ削除するか録音の扱いを利用者に説明できない
再委託と解約後のデータ再委託先の管理、データの返却形式と削除時期契約書の該当条項を読んでいない

併用ではソフト会社が2社になるため、それぞれ確認します。事業所側の対策は障害福祉事業所の個人情報漏えい対策のチェックリストも参考にしてください。

移行スケジュール例(請求月をまたがない手順)

以下は、就労継続支援B型の事業所が「7月提供分から新ソフトで記録・請求する」場合の架空の事例です。実際の期間は利用者数やデータの量によって変わります。

  1. 4月:困りごとを書き出し、全面乗り換えか併用かを決める。旧ソフトの解約予告の期限と、出力できるデータを確認する。
  2. 5月:候補を比較し、デモや試用で実際の書類を入力してみる。自治体様式での出力と権限設定を確認する。
  3. 6月上旬:個人情報の取扱いを確認して新ソフトと契約し、旧ソフトの解約時期を決める。
  4. 6月中旬〜下旬:事業所情報、加算の届出状況、利用者・受給者証情報を登録し、権限を設定する。操作研修とテスト入力を行う。
  5. 7月1日:新ソフトで支援記録・実績の入力を始める(7月提供分)。
  6. 7月1日〜10日:6月提供分は旧ソフトで請求する。
  7. 7月末ごろ:6月分の審査結果を確認し、返戻があれば旧ソフトで対応する。
  8. 8月1日〜10日:7月提供分を新ソフトで初めて請求する。送信前に利用者ごとの実績と請求額を、旧ソフトでの請求と見比べる。
  9. 8月末以降:7月分の審査結果を確認し、旧ソフトの記録の保管方法を確定してから解約する。

この例では新旧の契約が重なる期間をあえて作り、初回請求で問題が起きても旧ソフトのデータと照合できるようにしています。併用の場合は請求の切り替えが不要なため、手順5〜8を「一部の利用者で試し、確認の流れを決めてから全体に広げる」に置き換えます。

よくある失敗と防ぎ方

乗り換えでよく聞かれる失敗を、原因と防ぎ方に分けて整理しました。

乗り換えのよくある失敗と防ぎ方
失敗原因防ぎ方
旧ソフトの費用が想定より長く続いた解約条件を確認せずに乗り換えを決めた検討開始時に解約予告の期限を確認し、日程に入れる
実績記録と請求が合わなくなった月の途中で入力先を切り替えた入力先は月初に切り替え、1つの提供月は1つのソフトで完結させる
初回請求で返戻が多く出た加算の届出や受給者証情報を照合しなかった設定後に届出・受給者証と照合し、旧ソフトの請求と見比べる
解約後に過去記録が見られない移行できない項目を確認しなかった解約前に保存期間中の記録を出力し、保管場所を決める
併用で書類の正本が分からない保存先と出力の流れを決めていなかった確認済みの書類を保存するソフトと様式を事前に決める

職員への定着の進め方

乗り換えは、記録の書き方や確認の流れが変わる業務の見直しでもあります。職員が使い続けられるかで効果が大きく変わります。

  1. 目的を共有する:「記録の時間を減らし、利用者と話す時間を増やす」など、職員にとっての意味を伝える。
  2. 推進役を決める:操作に慣れた職員を質問の窓口にする。
  3. 段階的に広げる:特定の書類や一部の利用者から始め、確認の流れを固めてから広げる。
  4. 確認のルールを決める:AIの下書きは、担当職員やサービス管理責任者・相談支援専門員が確認・修正してから保存すると明文化する。
  5. 困りごとを集める:最初の1〜2か月は短い間隔で困りごとを集め、ソフト会社のサポートにも相談する。

操作手順書や動画、チャットでの問い合わせなど、ソフト会社のサポート体制も比較のポイントです。サービス種別ごとの選び方は就労支援ソフトの選び方と相談支援ソフトの選び方で解説しています。

AURAの使い方・導入事例

AURAは、株式会社Jinが提供する障害福祉AIです。書類作成の負担を減らし、職員や相談支援専門員が利用者への支援に集中できるようにすることを目指しています。AIが作るのは下書きで、確認と最終的な判断は職員・相談支援専門員が行います。

  • AURA就労支援:就労移行支援・就労継続支援A型/B型向け。面談音声や支援記録からアセスメント、個別支援計画書、モニタリング報告書などの下書きを作成し、職員が確認・修正します。利用者管理、支援記録、実績、国保連請求まで一つの環境で扱います。
  • AURA相談支援:計画相談支援・障害児相談支援向け。面談音声や資料から、アセスメント、サービス等利用計画案、モニタリング報告書などの下書きを作成します。今お使いのExcel様式を取り込んで書類を作れます。
  • 共通:何台・何人で使っても追加費用は不要です。データの取扱いはAURAの機能・セキュリティ・データ取扱いで公開しています。

以下は導入事業所のインタビューの要約です。数値はインタビューで語られた個別の体験・概数です。

記録から請求までをまとめた例(就労継続支援B型 アイランド)

導入前は請求業務が1日がかりで、国保連からエラーで戻ると1000行以上あるExcelのデータから箇所を探していたといいます。導入後は月末月初が楽になり、心配と手間が減った分、利用者と向き合う時間に集中できるようになったと語っています。(インタビューを読む)

Excelや既存ソフトと組み合わせる例(相談支援 山下さん)

支援記録は自分のExcelにまとめて既存ソフトにコピーし、アセスメントや計画書、モニタリングはAURAで作っています。更新時の計画書・モニタリングは、以前の1時間半以上から体感で30分ほどになったと話しています。(インタビューを読む)

下書きを参考に既存ソフトの計画書を整える例(相談支援 中川さん)

AURAの計画書をまるごと既存ソフトに入れるのではなく、表現や課題整理を参考に抜粋して落とし込んでいます。モニタリング報告書をきちんと出せるようになったことが一番の変化だと語っています。(インタビューを読む)

よくある質問

障害福祉ソフトの乗り換えで、最初に確認すべきことは何ですか?

旧ソフトの解約条件と、出力できるデータの範囲です。この2つで移行の期間と手順が決まります。

今の請求ソフトはそのままで、書類作成だけをAIで効率化できますか?

できます。書類作成に特化したAIサービスを併用すれば請求の切り替えは不要ですが、二つのソフト間の転記と、両社の個人情報の取扱いの確認が必要です。

何月に切り替えるのがよいですか?

決まった正解はありませんが、入力は月初に切り替え、1つの提供月を1つのソフトで完結させます。報酬改定の施行月と初回請求が重ならないようにすると確認が楽になります。

旧ソフトはいつ解約すればよいですか?

最後の請求の審査結果を確認し、保存期間中の過去記録を出力・保管してから解約するのが安全です。

過去の記録は新しいソフトにすべて移す必要がありますか?

すべてを移す必要はありません。5年間、必要なときに閲覧・提示できる状態で保存しておくことが大切で、保存方法は指定権者の条例・要綱も確認してください。

参考資料

本記事は2026年10月24日時点の情報です。

面談から書類・記録・請求まで。
障害福祉の業務をつなぐAI「AURA」
現場の声に耳を傾け、社会をやさしく変えていく。
AURAは、福祉・行政・地域の現場と共に進化する障害福祉AIです。
小さな声が集まり、大きな未来をつくります。
資料ダウンロード
3分でAURAが分かる
資料ダウンロード
無料
hero_sm