運営指導で個別支援計画が指摘されやすい点|減算を防ぐ確認リストと対策

公開日:2026/10/24

運営指導で個別支援計画が指摘されやすい点|減算を防ぐ確認リストと対策

運営指導で個別支援計画が指摘されやすいのは、面接・会議・文書同意・交付・モニタリングの記録漏れと日付の矛盾です。サービス管理責任者が手順ごとに記録を残し、見直し期限を一覧で管理して防ぎます。

本記事では、2026年6月に示された国の指導指針とマニュアル、運営基準、自治体の集団指導資料をもとに、就労移行支援・就労継続支援A型・B型の事業所向けに、指摘例と根拠、減算の仕組み、運営指導前の確認リストを整理します。

目次

  1. 運営指導とは(旧・実地指導)
  2. 運営指導で個別支援計画のどこが見られるか
  3. 個別支援計画の作成手順と基準上の要件
  4. 指摘されやすい点と対策(一覧表)
  5. 日付の前後関係で指摘されやすい点
  6. 内容面で指摘されやすい点とNG例
  7. 個別支援計画未作成減算
  8. 運営指導前の確認チェックリスト
  9. 指摘を受けた後の対応
  10. AURA就労支援の使い方と導入事例
  11. よくある質問
  12. 関連記事
  13. 参考資料

運営指導とは(旧・実地指導)

運営指導は、都道府県や市町村が障害者総合支援法第10条第1項・第11条第2項に基づいて事業所の書類やサービスの実態を確認し、その結果に基づいて改善を求める行政指導です。障害福祉分野では、令和6年3月5日付の通知改正(令和6年4月1日適用)で、それまでの「実地指導」が「運営指導」に改められました(厚生労働省 障発0305第2号の新旧対照表(鳥取県掲載))。

2026年6月の指導指針とマニュアル

厚生労働省は令和8年6月8日付の通知(障発0608第1号)で、「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」と「集団指導・運営指導マニュアル」などを新たに定め、平成26年の通知を廃止しました(厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等の指導監査について」)。指針では、運営指導を次の3つで構成しています。

運営指導の3つの内容(指導指針・マニュアルより)
区分主に確認すること個別支援計画との関係
サービスの実施状況指導個別サービスの質、利用者の生活実態、虐待や身体拘束の有無計画に基づく一連の流れ(ケアマネジメント・プロセス)を確認
最低基準等運営体制指導人員・運営の体制サービス管理責任者の配置・業務
報酬請求指導加算・減算と基本報酬の請求加算要件や未作成減算の根拠資料として確認

実施頻度と当日の流れ

指導指針では、就労継続支援A型・B型と共同生活援助は3年に1回以上、その他のサービス(就労移行支援を含む)は原則として指定の有効期間内に1回以上実施するとしています。指定後まもない事業所は指定後3年以内、A型は新規指定の半年後を目途に初回を行うとされています(厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」)。

  1. 実施通知:原則として実施予定日の1か月前までに届く(虐待や改ざんが疑われる場合などは事前通知なしもあり)
  2. 事前準備:事前提出資料と自己点検結果の提出を求められることが多い
  3. 当日:施設内の巡回、書類の閲覧、管理者等へのヒアリング
  4. 講評と結果通知:その場で口頭講評が行われることが多く、正式な結果は後日文書で通知
  5. 改善報告:文書指導を受けた事項は、期限までに改善報告書を提出

確認する文書は原則として前年度から直近の実績分で、利用者の記録は特に必要な場合を除き原則3名以内とされています(厚生労働省「集団指導・運営指導マニュアル」)。

運営指導で個別支援計画のどこが見られるか

マニュアルでは、すべての書類の有無を確認するのではなく、利用者がサービスの説明を受け、個別支援計画やサービス提供記録が作成され、それに基づいて支援が提供されているかという一連の流れに重点を置くとしています。巡回で気になった利用者など3名程度を抽出し、関係する文書を通して確認する方法が示されています。

また、アセスメントは利用者ごとに異なるため、複数の利用者の計画がすべて同じ内容になることは本来ありえない、という見方も示されています。担当者が「利用者や家族の立場でこの内容に同意できるか」を判断の目安にすることもあるため、書類がそろっていても中身が画一的だと指摘につながります。

ヒアリングでは、利用者の希望の確認方法、アセスメントの時期、目標の達成状況の確認方法などが質問の例として挙げられています。サービス管理責任者が自分の言葉で説明できるようにしておきます。

個別支援計画の作成手順と基準上の要件

個別支援計画の作成手順は、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条に定められ、就労移行支援は第184条、A型は第197条、B型は第202条で準用されています(e-Gov法令検索:指定障害福祉サービス基準)。書き方の基本は個別支援計画とは|書き方・作成の流れと記入例で解説しているため、ここでは運営指導で確認される記録に絞ります。

第58条の要件と残す記録
手順基準の要件残す記録の例
担当管理者がサービス管理責任者に作成業務を担当させる(第1項)作成者・作成日が分かる計画書
アセスメント利用者に面接して行い、面接の趣旨を説明する(第2〜4項)面接日・面接者・聞き取った希望
原案意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項を記載(第5項)原案(本案と区別して保存)
会議利用者と担当者等を招集し、原案への意見を求める(第6項)日時、出席者、本人の意向、意見
説明・同意利用者または家族に説明し、文書で利用者の同意を得る(第7項)同意日と同意者が分かる書面
交付利用者と指定特定相談支援事業者等に交付する(第8項)交付日・交付先・方法
モニタリング継続的なアセスメントを含めて把握し、定期的に面接・記録する(第9・10項)面接日、目標ごとの達成状況

見直しの頻度は、就労移行支援が少なくとも3か月に1回以上(第184条で「六月」を「三月」に読み替え)、A型・B型が少なくとも6か月に1回以上です。計画を変更するときも、アセスメントから交付までの手順が準用されます(第11項)。

令和6年度報酬改定のQ&Aでは、会議は原則として本人が同席すること(問80)、初回の計画は契約締結後1か月以内の作成が基本であること、作成・見直し後は変更がない場合も含めて速やかに利用者と相談支援事業所に交付すべきことが示されています(問82、厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」)。

指摘されやすい点と対策(一覧表)

自治体が集団指導で公表している指摘事例から、就労系サービスで当てはまりやすいものをまとめました。群馬県の令和8年度資料は就労移行支援・A型・B型・就労定着支援を対象にしたものです(群馬県「運営指導を通じての留意点について(就労支援事業所)」、鳥取県中部「運営指導における指摘事項」)。

個別支援計画の主な指摘例と対策
指摘例根拠対策
アセスメントやモニタリングの面接日・内容の記録がない(群馬県)第58条第4項・第10項面接日、面接者、本人の発言を記録に残す
相談支援事業所の担当者会議の記録を、計画作成会議の記録にしていた(群馬県)第58条第6項サービス管理責任者が会議を開き、会議録を別に作る
説明・同意・交付したことが分かる様式になっていない(群馬県)第58条第7項・第8項署名欄に説明・同意・受領を明記する
交付していない、交付まで数か月かかっている(群馬県・鳥取県中部)第58条第8項、Q&A問82同意と同時に交付し、交付日を記録する
相談支援事業所に交付していない(群馬県)第58条第8項送付日・方法を記録する
利用開始後2か月以上たっても計画がない(群馬県)Q&A問82契約日から1か月の期限を管理する
見直しが規定の頻度で行われていない、モニタリング記録がない(鳥取県中部)第58条第9項見直し期限を一覧で管理する
環境の変化があっても計画を変更していない(群馬県)第58条第9項変化の時点で臨時のモニタリングを行う

群馬県の資料は、変更がない場合もモニタリングの記録に変更がない旨とその理由を書くよう求めています。

日付の前後関係で指摘されやすい点

書類がそろっていても、日付の順番が手順と合わないと「正しい手順で作成していない」と判断されます。和歌山市の資料(児童系サービス向け)では、同意日が担当者会議より前になっている、同意日が空欄、同意日をあらかじめ事業所が印字していた、といった事例が挙げられています(和歌山市「実地指導における主な指摘事例」)。手順は就労系サービスでも同じため、次の順番を確認します。

日付の確認ポイント
確認する日付正しい順番よくある不整合
契約日と初回計画契約後、遅滞なく(1か月以内が基本)2か月以上たっても未作成
アセスメント日と原案作成日アセスメント→原案原案の作成日がアセスメントより前
会議日と同意日会議→説明・同意同意日が会議より前、同意日が空欄
同意日と交付日同意→速やかに交付交付日の記録がない、数か月後に交付
前回計画と次の見直し3か月(移行)・6か月(A型・B型)以内期間が空いている

同意日の欄は、利用者本人(または家族)に記入してもらう運用が和歌山市・群馬県の資料で示されています。代筆の場合は代筆者と続柄を書きます。

内容面で指摘されやすい点とNG例

手続きだけでなく、計画の中身も確認されます。群馬県の資料では「ほとんどの利用者の計画がほぼ同様の内容で、目標や支援内容が抽象的」「モニタリングに目標の達成度がなく、見直しの必要性が判断できない」「計画の内容が支援記録に書かれていない」が指摘例です。和歌山市の資料には、達成した目標や長く達成できない目標をそのままにしていた例もあります。

NG例と書き換え例(いずれも架空の事例)
NG例問題点書き換え例
目標:作業に集中できるようになる達成したか判断できない目標:検品作業を午前中の2時間、休憩1回で続けられる(3か月後)
支援内容:必要に応じて声かけを行う誰が・いつ・どう行うか不明支援内容:作業開始時に職業指導員が手順表で工程を確認する(毎日)
在宅で支援を行う在宅支援の中身がない週2日の在宅日に、午前10時と午後3時に電話で進捗と体調を確認する
モニタリング:引き続き頑張る達成度と見直しの要否がない目標1は一部達成(週4日のうち3日)。手順表を写真入りに変えて継続

A型について群馬県の資料は、利用者の希望する業務内容、労働時間、賃金、一般就労の希望の有無などを計画に書く必要があるとしています。目標の書き方は個別支援計画の目標例、評価の書き方は個別支援計画のモニタリング記入例を参考にしてください。

個別支援計画未作成減算

手順が適切に行われていない場合、報酬の「個別支援計画未作成減算」の対象になります。自治体の集団指導資料で確認できた内容は次のとおりです(函館市「個別支援計画について」、岐阜市「事業所等運営に関する基本的な事項について①」)。

個別支援計画未作成減算(函館市・岐阜市の令和7年度資料より)
項目内容
対象となる状態サービス管理責任者の指揮の下で計画が作成されていない/基準の作成の一連の業務が適切に行われていない
期間該当する月から、状態が解消された月の前月まで(該当する利用者ごと)
3か月未満の月所定単位数の100分の30を減算
連続して3か月以上の月所定単位数の100分の50を減算

根拠は報酬告示と留意事項通知(平成18年10月31日障発第1031001号)第二の1(10)です。群馬県の資料は、同意を得ていない・交付していない場合も未作成とみなされるとしています。計画書があっても、手順が欠ければ対象になり得ます。

運営指導前の確認チェックリスト

マニュアルは、事業所が自ら基準への適合を点検すること(自己点検)を推奨し、業務管理体制の法令遵守責任者の指揮の下で行うことが期待されるとしています。多くの自治体が自己点検シートを公開しているため、指定権者の様式と合わせて使います。

書類の保存と同意・交付の記録

  • 個別支援計画を含むサービス提供の記録を、提供した日から5年間保存している(第75条第2項の準用。条例で確認)
  • アセスメント、原案、会議録、本案、モニタリングが利用者ごとにそろっている
  • 同意欄に同意日と同意者があり、本人または家族が記入している
  • 利用者と相談支援事業所への交付日・方法が記録されている

サービス管理責任者の関与

  • 計画の作成者がサービス管理責任者になっている(不在時に別の職員が作成・説明していない)
  • アセスメントとモニタリングの面接をサービス管理責任者が行った記録がある
  • 会議をサービス管理責任者が開催し、支援の担当者の意見を記録している

サービス管理責任者の役割と業務量についてはサービス管理責任者とはで解説しています。

サービス等利用計画との整合

  • 相談支援専門員のサービス等利用計画を受け取り、総合的な援助の方針や目標を踏まえている
  • 相談支援事業所の担当者会議と、事業所の計画作成会議を別の記録にしている
  • セルフプランの利用者を台帳で区別している(担当の相談支援事業所がない場合、交付しないことは基準違反ではないとQ&A問82で示されています)

両計画の関係はサービス等利用計画と個別支援計画の関係と違いで整理しています。

日常の期限管理

  • 利用者ごとに契約日、計画作成日、同意日、交付日、次回見直し期限を一覧にしている
  • 月1回、管理者とサービス管理責任者で期限と日付の順番を確認している
  • 計画に書いた支援内容が、日々の支援記録に出てきている
  • 加算に関係する内容(在宅支援、施設外就労、訪問支援など)が計画に位置付けられている

指摘を受けた後の対応

運営指導の結果、法令や基準への違反があると、文書指導として期限付きで改善報告書の提出を求められます。軽微な場合は口頭指導、違反ではないが適正な運営のための助言となる場合もあります。マニュアルは、改善報告書には実施した改善の内容と、完了していない場合は「いつまでに何を行うのか」を明記し、「努力します」のような抽象的な表現は認められないとしています。

報酬の請求に誤りがあり不正の疑いがない場合は、自己点検のうえ過誤調整で訂正するよう指導されます。一方、基本報酬については、記録の不備など運営基準の違反だけでは返還の根拠にならず、減算すべきなのに減算せずに請求していた場合などが返還の対象になると整理されています。

AURA就労支援の使い方と導入事例

手順ごとの記録を残すうえで、面談の聞き取り内容を書類にまとめる作業はサービス管理責任者の負担になりがちです。AURA就労支援は、就労移行支援・就労継続支援A型/B型向けの障害福祉AIで、面談音声や支援記録からアセスメント、個別支援計画書、モニタリング報告書などの下書きを作成し、職員が確認・修正します。利用者管理、支援記録、実績、国保連請求までを一つの環境で扱えるため、書類作成の負担を減らし、利用者と向き合う時間を確保しやすくなります。

AIの出力は下書きであり、面接・会議・説明と同意・交付という基準の手順そのものは事業所が行います。目標の設定や見直しの判断はサービス管理責任者が行ってください。AIを使うときの確認項目は個別支援計画をAIで下書きする手順と注意点で解説しています。面談音声は保存開始から7日経過後に削除対象となるなど、データの取扱いはAURAの安全への取り組みで公開しています。

導入事例:eスポーツに特化した就労継続支援B型事業所「CYATH」では、人によって計画の質が変わることを課題とし、誰が対応しても同じ質で計画を立てられるよう標準化を考えていたと事業責任者の赤松氏が話しています。サービス管理責任者の山下氏は、面談で聞き取った内容を会議後にまとめる作業について「一つの作業につき30分とか1時間とか削減できる」と述べ、メモを取らずに利用者の表情を見ながら話を聞けるようになったと話しています(インタビュー全文)。

※数値はインタビューで語られた個別の体験・概数で、効果を保証するものではありません。

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よくある質問

運営指導はどのくらいの頻度で行われますか?

国の指導指針では、就労継続支援A型・B型は3年に1回以上、就労移行支援などその他のサービスは原則として指定の有効期間内に1回以上です。実際の計画は指定権者の実施方針で確認してください。

運営指導は事前に通知されますか?

原則として実施予定日の1か月前までに通知されます。ただし、虐待や書類の改ざんが疑われる場合などは、事前通知なしで行われることがあります。

見直して内容が変わらない場合も交付が必要ですか?

必要です。Q&A問82で、見直しの結果、変更がない場合も含めて速やかに利用者と相談支援事業所に交付すべきとされています。

相談支援事業所の担当者会議の記録で代用できますか?

代用はできません。計画作成会議はサービス管理責任者が開催するもので、群馬県の資料でも担当者会議の記録を計画作成会議の記録としていた例が指摘されています。

減算に当たる状態に気づいたらどうしますか?

手順をやり直して状態を解消し、請求済みの分は指定権者に相談したうえで、過誤調整などの指示に従って訂正します。減算は状態が解消された月の前月まで続くため、早く気づくほど影響を小さくできます。

参考資料

本記事は2026年10月24日時点の情報です。

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