個別支援計画の目標例|長期目標・短期目標の書き方をサービス種別ごとに

公開日:2026/10/23

個別支援計画の目標例|長期目標・短期目標の書き方をサービス種別ごとに

個別支援計画の目標は、サービス管理責任者がアセスメントで把握した本人の希望をもとに、目指す姿を示す「長期目標」と、次の見直しまでに達成する行動を示す「短期目標」に分け、達成時期を添えて書きます。

この記事では、評価できる目標の書き方の型、就労移行支援・就労継続支援A型・B型・生活介護の目標例(すべて架空の事例)、NG例の書き換え、モニタリングでの評価までを順に解説します。計画書全体の流れは個別支援計画書の書き方もあわせてご覧ください。

目次

  1. 長期目標と短期目標の違い
  2. 目標を書く前に確認すること
  3. 評価できる目標の書き方
  4. 就労移行支援の目標例
  5. 就労継続支援A型の目標例
  6. 就労継続支援B型・生活介護の目標例
  7. 本人の言葉を目標に入れる方法
  8. NG例と書き換え例
  9. モニタリングでの評価と見直し
  10. AIで目標案を下書きするときの注意
  11. よくある質問
  12. 関連記事
  13. 参考資料

長期目標と短期目標の違い

長期目標は「本人がどうなりたいか」という到達点、短期目標は「その到達点に向けて、次の見直しまでに何ができるようになるか」という中間の段階です。長期目標を短期目標で小さく分けると、モニタリングのたびに進み具合を確かめられます。

長期目標と短期目標の違い
項目長期目標短期目標
役割支援全体で目指す本人の姿長期目標に近づくための具体的な一歩
期間の考え方計画期間や利用期間の先を見据えて設定次の計画見直しの時期に合わせると評価しやすい
書き方本人の希望を反映した、方向性が分かる表現行動・回数・場面が分かり、達成したか判断できる表現
評価のしかた短期目標の積み重ねで近づいているかを確認モニタリングで達成・一部達成・未達成を判断
例(架空の事例)事務補助の仕事で一般企業に就職する3か月後までに、週4日・午前中の通所を続ける

運営基準では、サービス管理責任者が「目標及びその達成時期」を記載した計画の原案を作成することが定められています(指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第58条第5項/e-Gov法令検索)。一方、長期目標・短期目標それぞれの期間は法令で一律には決まっていません。事業所の様式や自治体の指導内容に合わせて決めます。

短期目標の期間を決める目安になるのが、計画の見直し頻度です。第58条は生活介護・就労移行支援・就労継続支援A型・B型に準用されており、サービスごとの見直し頻度は次のとおりです。

サービス種別ごとの計画見直しの頻度(運営基準)
サービス基準上の計画の名称見直しの頻度根拠
就労移行支援就労移行支援計画少なくとも3か月に1回以上第184条で第58条を準用(6月を3月に読み替え)
就労継続支援A型就労継続支援A型計画少なくとも6か月に1回以上第197条で第58条を準用
就労継続支援B型就労継続支援B型計画少なくとも6か月に1回以上第202条で第58条を準用
生活介護生活介護計画少なくとも6か月に1回以上第93条で第58条を準用

短期目標の達成時期を見直しの時期より長くすると、見直しの時点で評価ができず「継続」が続きがちです。短期目標は見直し時期までに評価できる長さにしておくと、計画の更新がスムーズになります。

目標を書く前に確認すること

目標の質は、書く前の情報集めで決まります。運営基準は、計画の作成にあたって利用者に面接してアセスメントを行うこと、利用者の自己決定の尊重と意思決定の支援に配慮することを求めています(第58条第2項〜第4項)。

  1. 本人の希望を本人の言葉で聞く:「どんな仕事がしたいか」「どんな生活を送りたいか」を、面談で本人の言葉のまま記録します。
  2. 家族の意向を分けて記録する:家族の希望は大切な情報ですが、本人の希望と混ぜずに別に書きます。
  3. アセスメントで現状を把握する:生活リズム、体調、作業の得意・苦手、対人面、通所や移動の状況を確認します。
  4. サービス等利用計画と照らし合わせる:相談支援専門員が作成したサービス等利用計画の総合的な援助の方針や目標と、方向性がずれていないか確認します。
  5. サービスの役割を確認する:就労移行支援、A型、B型、生活介護では、事業所が担う支援の範囲が異なります。目標はそのサービスで支援できる内容にします。

サービス等利用計画の位置づけはサービス等利用計画とは、各サービスの違いは就労移行支援と就労継続支援の違いで解説しています。

また、本人が自ら意思を決めることに難しさを抱える場合、基準は本人の意思・選好・判断能力等を丁寧に把握するよう求めています(第58条第3項)。厚生労働省の障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(平成29年3月31日)では、意思決定の結果を反映した個別支援計画の作成と、モニタリング・評価・見直しが意思決定支援の枠組みに含まれています。なお、同ガイドラインの第2版案が2026年7月10日の社会保障審議会障害者部会(第157回)に示されているため、最新の内容も確認してください。

評価できる目標の書き方

モニタリングで評価できる目標には、「具体的」「測定できる」「期限がある」「本人が主語」の4つの要素があります。基本の型は「(いつまでに)(どの場面で)(何を)(どのくらい)できる」です。

評価できる目標の4要素
要素書くこと記入例(架空の事例)よくある誤り
具体的場面と行動を書く作業中に分からない点があれば、職員に質問するコミュニケーション力を高める
測定できる回数・日数・割合など確認できる基準週4日の通所を続けるなるべく休まず通う
期限があるいつ評価するかを書く次回の見直し(3か月後)までに期限がなく、毎回「継続」になる
本人が主語本人が「〜する」「〜できる」と書く自分で体調チェック表に記入する職員が体調を管理する

「職員が声かけをする」のような職員の行動は、支援内容の欄に書きます。目標と支援内容を対にしておくと、未達成のときに目標と支援方法のどちらを直すか切り分けやすくなります。

数値は、本人の現状から無理なく届く水準にし、達成したら次の計画で引き上げます。

就労移行支援の目標例

就労移行支援は一般企業への就職を目指すサービスで、利用期間は原則2年間です(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則 第6条の8/e-Gov法令検索)。計画の見直しは少なくとも3か月に1回以上のため、短期目標は3か月で評価できる内容にすると扱いやすくなります。

就労移行支援の目標例(架空の事例)
領域長期目標短期目標支援内容
生活リズム週5日・1日6時間の勤務に必要な体力をつける3か月後までに、週4日・10時から15時の通所を続ける通所記録を一緒に振り返り、欠席の理由を確認する
作業スキル事務補助の業務を一人で進められる3か月後までに、データ入力課題を誤り5件以内で終える入力手順書を用意し、確認のしかたを練習する
報告・相談職場で困ったときに上司へ相談できる作業中に分からない点を、1日1回以上職員に質問する質問のしかたを例文で練習し、できた場面を伝える
求職活動希望する職種で就職する3か月後までに、企業実習に1回参加する実習先を本人と選び、事前の見学に同行する

架空の事例:Aさん(20代)は「パソコンを使う仕事をしたい。でも朝が苦手」と話しています。長期目標は「事務補助の仕事で就職する」、最初の短期目標は「3か月後までに週4日、10時からの通所を続ける」とし、生活リズムが整った段階で作業スキルの目標を加えました。

就労選択支援を経て利用する場合は、そのアセスメント結果も参考にできます。制度の概要は就労選択支援とはをご覧ください。

就労継続支援A型の目標例

A型は事業所と雇用契約を結んで働くサービスです。そのため目標には、労働者として働き続けるための内容(勤務の安定、業務の正確さ、職場のルール)が入りやすくなります。見直しは少なくとも6か月に1回以上です。

就労継続支援A型の目標例(架空の事例)
領域長期目標短期目標支援内容
勤務の安定契約した勤務日数を安定して働く6か月後までに、欠勤の連絡を始業前に自分で入れる連絡の手順をカードにまとめ、一緒に確認する
業務の正確さ担当工程を任せてもらえるようになる6か月後までに、検品作業でチェック表を毎回使うチェック表を用意し、週1回振り返る
体調管理体調を崩しても早めに対処して働き続ける疲れを感じたら自分から休憩を申し出る休憩の申し出方を決め、申し出られたら肯定的に伝える
一般就労への移行一般企業での就職を検討できる6か月後までに、一般就労について職員と2回話す本人の希望を確認し、必要に応じて関係機関と連携する

架空の事例:Bさん(30代)は「今の仕事を続けて、いつか正社員を目指したい」と話しています。長期目標は「契約した勤務日数を安定して働き、一般就労を検討できる」、短期目標は「6か月後までに欠勤の連絡を自分で入れる」としました。

「売上を上げる」は事業所の目標です。本人の目標には「担当工程を手順どおりに進める」のように本人の行動として書きます。

就労継続支援B型・生活介護の目標例

B型と生活介護は、本人のペースに合わせた日中活動の場であることが多く、目標も「通所の安定」「できる作業の広がり」「生活や健康」など幅広くなります。どちらも見直しは少なくとも6か月に1回以上です。

就労継続支援B型の目標例

B型は雇用契約を結ばずに生産活動などに参加するサービスです。工賃の向上は事業所全体の課題でもありますが、本人の目標にするなら「作業時間」「作業の種類」など本人が取り組める行動に置き換えます。

就労継続支援B型の目標例(架空の事例)
領域長期目標短期目標支援内容
通所の安定自分のペースで通所を続ける6か月後までに、週3日の通所を続ける通所日を本人と決め、欠席時は翌日に体調を確認する
作業の幅得意な作業を増やし、役割を持つ6か月後までに、袋詰めに加えてシール貼りを一人でできる手順を写真付きで示し、慣れるまで職員が隣で見守る
作業時間午後も作業に参加できる6か月後までに、昼休憩後に30分作業に参加する休憩の取り方を本人と決め、疲れのサインを共有する
生活工賃の使い道を自分で決める工賃で買いたい物を1つ決め、職員に伝える買い物の計画を一緒に立てる

生活介護の目標例

生活介護では、日常生活の支援や創作的活動・生産活動の中で、本人の意思の表し方や健康の維持が目標になることがあります。言葉での表出が難しい人は、表情やしぐさから読み取った意思も記録し、目標の根拠にします。

生活介護の目標例(架空の事例)
領域長期目標短期目標支援内容
意思の表出やりたい活動を自分で選べる2つの活動の写真から、好きな方を指さしで選ぶ活動前に写真カードを示し、選んだ活動を実施する
健康体調を崩さず日中活動に参加する昼食後の歯みがきを職員と一緒に毎日行う手順を一つずつ声に出して示す
活動参加好きな創作活動を続ける週2回の絵画活動に最後まで参加する本人の好きな画材を準備し、休憩を挟めるようにする

本人の言葉を目標に入れる方法

本人の言葉を目標に入れると、本人が自分の目標として理解しやすくなり、モニタリングで振り返るときの手がかりにもなります。運営基準は、計画作成の会議で利用者の生活に対する意向等を改めて確認し、計画の原案を利用者等に説明して文書で同意を得ることを求めています(第58条第6項・第7項)。

  1. 面談で出た言葉をそのまま残す:「朝起きるのがつらい」「人と話すのは緊張する」など、言い換える前の表現をアセスメントに記録します。
  2. 希望と不安の両方を拾う:「働きたい」だけでなく「失敗が怖い」などの不安も、目標と支援内容を決める材料になります。
  3. 長期目標に本人の言葉を残す:例として「『パソコンを使う仕事がしたい』を実現するため、事務補助の仕事で就職する」のように、本人の言葉を「」で引用します(架空の事例)。
  4. 短期目標は本人と一緒に決める:候補を2〜3つ示し、「これならできそう」と本人が選んだものを採用します。
  5. 分かりやすい言葉で説明する:同意を得るときは、専門用語を避け、必要に応じてふりがなや図を使って説明します。
本人の言葉を生かした書き方(架空の事例)
欄書くこと記入例よくある誤り
本人の希望本人が話した言葉「お金をためて一人暮らしがしたい」職員が要約した「自立を希望」だけを書く
長期目標希望を実現する到達点一人暮らしに向けて、収入を得られる仕事に就く本人の希望と関係のない目標を置く
短期目標本人が選んだ次の一歩3か月後までに、毎月の支出をノートに記録する職員だけで決め、本人が内容を知らない

NG例と書き換え例

よく見られるNG例は、「抽象的で評価できない」「職員が主語」「期限がない」「本人の希望とつながらない」の4つです。次の表を、自事業所の計画書の点検に使えます(すべて架空の事例)。

NG例と書き換え例
NG例問題点書き換え例
コミュニケーション能力を向上させる何ができれば達成か分からない3か月後までに、作業の終わりに「終わりました」と職員に報告する
安定して通所する「安定」の基準がない6か月後までに、週3日の通所を続ける
職員が声かけを行い、作業を促す職員の行動で、目標ではなく支援内容目標:作業開始の時間に自分で席に着く。支援内容:開始5分前に声かけをする
一般就労を目指す長期目標としては方向性のみで、段階が見えない長期:物流倉庫の軽作業で就職する。短期:3か月後までに企業見学に1回参加する
問題行動をなくす否定的な表現で、望ましい行動が書かれていない気持ちが落ち着かないとき、決めた休憩スペースで休む
前回と同じ目標を継続評価と見直しの理由が残らない達成状況を記録し、一部達成なら回数や場面を調整して書き直す

書き換えのコツは、「その目標を達成した場面を、職員が見て判断できるか」を確かめることです。判断できなければ、行動・回数・場面のいずれかが足りていません。

モニタリングでの評価と見直し

運営基準は、計画作成後に実施状況の把握(モニタリング)を行い、定められた頻度で計画を見直し、必要に応じて変更することを求めています。モニタリングは、特段の事情のない限り、定期的に利用者に面接し、結果を定期的に記録して行います(第58条第9項・第10項)。

  1. 記録を集める:通所記録、支援記録、作業の記録から、短期目標に関係する事実を集めます。
  2. 本人と振り返る:面接で「できたこと」「難しかったこと」を本人の言葉で聞きます。
  3. 達成度を判断する:下の表の区分で、短期目標ごとに評価します。
  4. 理由を書く:未達成のときは、目標の高さ、支援方法、体調や環境の変化など理由を記録します。
  5. 次の目標を決める:評価をもとに、目標の継続・変更・新設を本人と相談して決め、計画を更新します。
短期目標の評価区分と次の計画への反映(架空の事例)
評価状態の例記録の書き方次の計画への反映
達成週4日の通所を3か月続けた通所記録で週4日を確認。本人は「朝が少し楽になった」と話す次の段階(週5日、作業時間の延長など)の目標を設定
一部達成2か月は続いたが、最後の月は週3日体調不良で欠席が増えた時期があった回数は維持し、体調の記録を支援内容に追加
未達成週2日程度にとどまった本人は「午前中は眠い」と話す。生活リズムの課題が残る通所時間を午後からに変える、目標を週3日に下げる
目標の変更本人の希望が変わった面談で「接客より軽作業がしたい」と話した長期目標から見直し、関係機関とも共有

モニタリング記録の様式と書き方は、就労支援のモニタリングシートで詳しく紹介しています。

AIで目標案を下書きするときの注意

面談の記録やアセスメントから目標案を下書きできるAIツールも増えています。AIは下書きの負担を減らせますが、計画の作成はサービス管理責任者の業務であり、内容の判断と本人の同意は人が行います。

  • 本人の言葉が残っているか確認する:AIが整えた表現で、本人の希望のニュアンスが変わっていないか見直します。
  • 評価できる形になっているか確認する:この記事の4要素(具体・測定・期限・本人主体)で点検します。
  • 事実でない内容を消す:面談で出ていない内容や推測が入っていれば削除します。
  • 個人情報の扱いを確認する:利用者の情報を入力するツールは、データの保存・削除・学習利用の方針を確認してから使います。

AURA就労支援は、就労移行支援・就労継続支援A型/B型向けの障害福祉AIです。面談音声や支援記録からアセスメント、個別支援計画書、モニタリング報告書などの下書きを作成し、職員が確認・修正します。書類作成の負担を減らし、本人と向き合う時間や目標を一緒に考える時間を確保することをねらいとしています。データの取り扱いはデータの取り扱いについてで公開しており、面談音声は保存開始から7日経過後に削除対象となります。

導入事例:Omoro-Step(就労移行支援)

3事業所を統括する日下部渉さんは、個別支援計画を1から作ると、アセスメントを見ながら本人の状態像を考えるため1時間ほどかかっていたと話します。AURAを使うとアセスメントからある程度書類ができ、10分ほどで作成できたといいます(インタビューで語った個別の体験・概数です)。空いた時間は、遠方への訪問や支援学校・外部機関との連携に充てられるようになったそうです。

詳しくは日下部さんのインタビューをご覧ください。

使い方や料金はAURA就労支援の資料を受け取るからご確認いただけます。

よくある質問

長期目標と短期目標の期間は決まっていますか?

法令で一律の期間は決まっていません。運営基準は目標と達成時期の記載を求めているため、短期目標は計画の見直し時期(就労移行支援は3か月、A型・B型・生活介護は6か月以内)までに評価できる長さにすると運用しやすくなります。

目標の主語は誰にすればよいですか?

本人を主語にして「〜する」「〜できる」と書きます。職員の行動は支援内容の欄に書きます。

本人が希望をうまく言葉にできない場合はどうしますか?

表情やしぐさ、選んだ活動、家族や関係者からの情報を組み合わせて本人の意思と選好を把握し、その根拠を記録します。意思決定支援ガイドラインの考え方が参考になります。

同じ目標を何回も継続してよいですか?

継続自体は可能ですが、評価の結果と継続する理由を記録し、回数や場面を調整できないか検討します。理由のない継続が続く場合は、目標の高さや支援方法を見直すサインです。

サービス等利用計画の目標と同じでよいですか?

方向性はそろえますが、個別支援計画では事業所で取り組む具体的な行動まで落とし込みます。サービス等利用計画の総合的な方針を受けて、事業所の支援で何を目指すかを書きます。

AIが作った目標案をそのまま使ってもよいですか?

そのまま使わず、サービス管理責任者が内容を確認・修正し、本人に説明して同意を得てから確定します。

参考資料

本記事は2026年10月23日時点の情報です。

面談から書類・記録・請求まで。
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