就労継続支援B型とは|対象者・工賃・利用料・利用の流れ・A型との違い

公開日:2026/10/24

就労継続支援B型とは|対象者・工賃・利用料・利用の流れ・A型との違い

就労継続支援B型とは、雇用契約を結んで働くことが難しい障害のある人が、雇用契約を結ばずに事業所で生産活動や訓練を行い、工賃を受け取る障害福祉サービスです。市町村の支給決定を受けて利用します。

この記事では、定義、対象者、工賃の全国平均、利用料、利用の流れ、A型・就労移行支援との違い、事業所の運営面の基本を、厚生労働省とe-Gov法令検索の一次情報をもとに整理します。

目次

  1. 就労継続支援B型とは(法令上の定義)
  2. 就労継続支援B型の対象者
  3. サービス内容と事業所での過ごし方
  4. 工賃のしくみと全国平均
  5. 利用料と負担上限月額
  6. 利用開始までの流れ
  7. 事業所の選び方
  8. A型・就労移行支援との違い
  9. 事業所の運営面の基本
  10. 書類業務の負担を減らす(AURAの使い方・事例)
  11. よくある質問
  12. 関連記事
  13. 参考資料

就労継続支援B型とは(法令上の定義)

就労継続支援は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第5条第15項で定義されている障害福祉サービスです。条文では、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者などに対し、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、知識と能力の向上のために必要な訓練などを行うものとされています(e-Gov法令検索:障害者総合支援法)。

就労継続支援はA型とB型に分かれ、その区分は同法の施行規則第6条の10で定められています。B型は、通常の事業所に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が困難な人に対して、就労の機会と生産活動の機会の提供、その他の必要な訓練・支援を行うものと規定されています(e-Gov法令検索:障害者総合支援法施行規則)。

  • A型は雇用契約を結んで働く「雇用型」、B型は雇用契約を結ばない「非雇用型」
  • B型の利用者は事業所の労働者ではなく、生産活動の成果に応じて「工賃」を受け取る
  • 障害福祉サービスの中では「訓練等給付」に位置づけられる(厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」)

障害者総合支援法そのものの全体像は障害者総合支援法とはで解説しています。

就労継続支援B型の対象者

厚生労働省の「障害福祉サービスの内容」では、B型の対象者を「就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者など」で、就労の機会等を通じて生産活動にかかる知識・能力の向上や維持が期待される人と説明しています(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。具体例として挙げられているのは次の4つです。

厚生労働省が示すB型の対象者の例
区分内容補足
(1)就労経験がある人年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人離職後の利用など
(2)年齢・年金50歳に達している人、または障害基礎年金1級を受給している人アセスメントの要件とは別に扱われる
(3)上記以外の人就労アセスメントにより、就労面の課題等の把握が行われている利用希望者令和7年10月からは原則として就労選択支援によるアセスメント
(4)施設入所者サービス等利用計画案の作成を経て、市町村が利用の組合せの必要性を認めた人障害者支援施設に入所する人

令和7年10月からの就労選択支援との関係

令和7年10月1日に「就労選択支援」が始まりました。厚生労働省の通知では、(1)(2)の要件に当てはまらない人は、令和7年10月から就労選択支援事業者によるアセスメントで就労面の課題等を把握したうえでB型を利用することとされています。ただし、近くに就労選択支援事業所がない場合や、利用までに待機期間が生じる場合は、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型の利用も認められています(厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」の一部改正について)。

同じ通知は、B型の利用を前提とした形式的なアセスメントにしないことも求めています。就労選択支援の詳細は就労選択支援とはをご覧ください。

サービス内容と事業所での過ごし方

B型事業所では、生産活動の機会の提供と、就労に必要な知識・能力の向上のための訓練・支援が行われます。生産活動の内容は事業所ごとに異なり、軽作業、農作業、食品の製造・販売、清掃、データ入力、制作物の販売など、地域や事業所の特色が出やすい部分です。

次は、ある利用者の1日の過ごし方のイメージです(架空の事例)。

B型事業所での1日の例(架空の事例)
時間帯内容支援の例
午前の始業朝礼、体調確認、作業の割り振り体調や気分を聞き取り、その日の作業量を調整する
午前菓子の袋詰めと検品手順書を見ながら作業し、迷ったら職員に確認する練習
昼昼食・休憩休憩の取り方や他の利用者との関わり方を見守る
午後店舗での販売補助あいさつや金銭の受け渡しを職員と一緒に行う
終業片付け、振り返りできたことと次の目標を短く確認し、支援記録に残す

通所の日数や時間、支援の内容は、本人の体調や目標に合わせて個別支援計画で決めていきます。

工賃のしくみと全国平均

B型の工賃は、事業所の運営基準(指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準)第201条で決まりが定められています(e-Gov法令検索:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準)。

  • 生産活動に係る事業の収入から、生産活動に必要な経費を差し引いた額を工賃として支払う(第1項)
  • 利用者1人あたりに支払う1か月の工賃の平均額は、3千円を下回ってはならない(第2項)
  • 工賃の水準を高めるよう努める(第3項)
  • 年度ごとに工賃の目標水準を設定し、目標水準と前年度の工賃の平均額を利用者に通知し、都道府県に報告する(第4項)

平均工賃月額の全国実績

厚生労働省の公表資料によると、令和6年度のB型事業所の平均工賃月額は24,141円(報告施設数18,245か所、対前年比106.6%)でした。参考として、同じ資料ではA型事業所の平均賃金月額が91,451円と示されています(厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」)。

B型事業所の平均工賃月額(厚生労働省公表値)
年度平均工賃月額備考
令和5年度22,649円令和8年3月に23,053円から修正。計算方法の変更で大幅に増加
令和6年度24,141円報告施設数18,245か所

令和5年度の実績から、平均工賃月額の計算方法が変わっています。令和6年度報酬改定で導入された新しい算定式は、年間工賃支払総額を「年間延べ利用者数÷年間開所日数」で割り、さらに12か月で割るものです(厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」の参考資料)。このため、令和4年度以前の数値と単純に比べることはできません(厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」)。

全国平均は目安です。工賃は生産活動の内容や売上、通所日数で大きく変わるため、各事業所の実績を確認しましょう。

利用料と負担上限月額

障害福祉サービスの自己負担には所得に応じた月ごとの上限があり、利用量にかかわらず上限額を超える負担は生じません(厚生労働省「障害者の利用者負担」)。

障害者の負担上限月額
区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)。入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く9,300円
一般2上記以外37,200円

所得を判断する世帯の範囲は、18歳以上の障害者(施設に入所する18、19歳を除く)の場合、本人とその配偶者です。親と同居していても、親の収入は原則として判定に含まれません。

通所施設の食費は、低所得と一般1の区分では食材料費のみの負担となる軽減措置があります。送迎や昼食などの実費は事業所ごとに異なるため、契約前に重要事項説明書で確認してください。

利用開始までの流れ

B型の利用は、市町村への申請から始まります。厚生労働省のパンフレットに示されている支給決定の流れを、B型に当てはめると次のとおりです(厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」)。

  1. 相談:市町村の窓口や相談支援事業所に相談し、気になる事業所を見学・体験する
  2. 申請:市町村に利用を申請する。必要に応じて就労選択支援などのアセスメントを受ける
  3. サービス等利用計画案の作成:相談支援専門員が計画案を作成し、市町村に提出する(セルフプランの場合もある)
  4. 支給決定:市町村が支給決定を行い、受給者証が交付される
  5. 契約:重要事項の説明を受けて事業所と契約する。サービス担当者会議を経てサービス等利用計画が確定する
  6. 個別支援計画の作成:サービス管理責任者がアセスメントを行って計画を作成し、本人の同意を得て利用開始となる

相談支援専門員が作る「サービス等利用計画」と、事業所が作る「個別支援計画」は別の書類です。違いはサービス等利用計画と個別支援計画の関係と違いで、相談支援の役割は計画相談支援とはで解説しています。手続きの細部は市町村によって異なります。

事業所の選び方

B型事業所は、生産活動の内容や雰囲気、支援の方針がそれぞれ違います。見学や体験利用の際は、次の観点で比べると判断しやすくなります。

事業所を比べるときのチェックポイント
観点確認すること質問の例
作業内容本人の興味や体力に合う作業があるかどんな作業を、どのくらいの時間行いますか?
工賃前年度の平均工賃と工賃の目標水準前年度の平均工賃と、今年度の目標を教えてください
通いやすさ通所時間、送迎の有無、開所日・時間送迎の範囲と、利用日数の相談はできますか?
将来の選択肢A型や一般就労へ進みたいときの支援他のサービスや就職を考えたときに相談できますか?

工賃の目標水準と前年度の平均額は、運営基準で利用者への通知が義務づけられている情報です。見学時に尋ねて問題ありません。複数を見学し、本人が通えそうと感じるかを大切にしましょう。

A型・就労移行支援との違い

B型と、A型・就労移行支援の主な違いは次のとおりです。

就労継続支援B型・A型・就労移行支援の比較
項目就労継続支援B型就労継続支援A型就労移行支援
目的雇用契約によらない就労・生産活動の機会と訓練雇用契約に基づく就労の機会と訓練一般企業への就職に向けた訓練と求職・定着支援
雇用契約結ばない結ぶ結ばない
受け取るお金工賃(令和6年度全国平均月額24,141円)賃金(令和6年度全国平均月額91,451円)就職に向けた訓練が主目的(工賃の有無は事業所に確認)
利用期間施行規則上の期間の定めなし施行規則上の期間の定めなし原則2年間(施行規則第6条の8)
主な対象雇用契約に基づく就労が困難な人雇用契約に基づき継続的に就労することが可能な人通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる人

対象者の説明は厚生労働省「障害福祉サービスの内容」、平均額は前述の工賃実績の資料によります。なお、A型の利用にあたって就労選択支援は当面の間必須ではないとされています(前述の通知)。

就労定着支援や就労選択支援も含めた詳しい比較は、就労移行支援と就労継続支援の違いを解説で扱っています。

事業所の運営面の基本

ここからは事業所を運営する側の基本です。詳細は改定で変わるため、最新の告示・通知と指定権者の案内で確認してください。

人員配置

B型の人員基準は、運営基準第199条でA型の規定(第186条)を準用する形で定められています。主な内容は次のとおりです(e-Gov法令検索:指定基準)。

  • 職業指導員と生活支援員の総数は、常勤換算で利用者数を10で割った数以上。職業指導員・生活支援員はそれぞれ1人以上、いずれか1人以上は常勤
  • サービス管理責任者は、利用者数60人以下で1人以上(うち1人以上は常勤)
  • 事業所ごとに管理者を置く(第51条の準用)

計算方法やモデル例は就労継続支援B型の人員配置で詳しく解説しています。サービス管理責任者の役割はサービス管理責任者とはをご覧ください。

個別支援計画

運営基準第202条は、個別支援計画の作成に関する第58条をB型に準用しています。サービス管理責任者は、利用者への面接によるアセスメント、計画原案の作成、計画作成会議、本人への説明と文書による同意、計画の交付を行い、少なくとも6か月に1回以上計画を見直します。モニタリングでは定期的に利用者と面接し、結果を記録することが求められています。

作業面だけでなく、通所の安定や生活面、工賃に関する本人の希望も扱います。書き方は個別支援計画とはで詳しく解説しています。

基本報酬と平均工賃月額

B型の基本報酬は、前年度の平均工賃月額の区分に、利用定員と人員配置(職業指導員・生活支援員の配置の手厚さ)を組み合わせて決まる体系が中心です。平均工賃月額によらない基本報酬区分もあるため、どの区分を選ぶかは指定権者への届出で確定します。

令和8年度障害福祉サービス等報酬改定では、B型について次の見直しが行われました(厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」)。

  • 基本報酬区分の基準の見直し(令和8年6月施行):平均工賃月額の算定方式の見直しで想定以上に高い区分の事業所が増えたことを受け、区分の基準額を3千円引き上げる。令和6年度改定の前後で区分が上がっていない事業所は対象外とするなどの配慮措置がある
  • 応急的な報酬単価の特例(令和8年6月施行):令和8年6月1日以降に新規指定された事業所に限り、令和9年度報酬改定までの間、一定程度引き下げた基本報酬を適用する。重度障害者への配慮や地域への配慮として、従前の単価が適用される場合がある

具体的な単位数や区分の境目は、告示と改定資料で確認してください。

利用希望者への説明

工賃や利用料の説明は、利用希望者の判断に直結します。誤解を招きやすい例と書き換え例です(架空の事例)。

利用希望者への説明のNG例と書き換え例(架空の事例)
NG例問題点書き換え例
「ここなら月3万円は必ず稼げます」工賃は生産活動の収入と経費、通所日数で変わり、保証できない「前年度の平均工賃は○円でした。通所日数や作業内容で個人差があります」
「B型は期限がないので、ずっとここで大丈夫です」本人の就労の意向の変化を考慮していない「長く通うこともできますし、A型や就職を考えたときは一緒に相談できます」
「利用料は誰でも無料です」負担上限月額は世帯の所得区分で異なる「利用料は所得区分に応じた上限があり、市町村が決定します」

書類業務の負担を減らす(AURAの使い方・事例)

B型事業所では、アセスメント、個別支援計画、モニタリング、支援記録、実績管理、国保連請求など多くの事務が発生し、利用者支援に充てる時間を圧迫しがちです。

AURA就労支援は、就労移行支援・就労継続支援A型/B型向けの障害福祉AIです。面談音声や支援記録からアセスメント、個別支援計画書、モニタリング報告書などの下書きを作成します。AIの出力はあくまで下書きで、内容の確認・修正と最終的な判断は職員が行います。利用者管理、支援記録、実績、国保連請求まで一つの環境で扱えるため、書類業務の負担を減らし、利用者と向き合う時間を確保しやすくなります。何台・何人で使っても追加費用はかからず、報酬改定や基準変更にも追加費用なしで対応しています。

導入事例:eスポーツを取り入れた就労支援事業所 CYATH

CYATHの柴田氏は、現場の課題の一つに「事務作業の多さ」を挙げ、書類作成で一日の仕事が終わってしまう状況を変えるためにAIを導入したと語っています。導入後はサービス管理責任者が、もう一人のサービス管理責任者を育てる時間や管理者としての仕事に時間を使えるようになり、利用者一人ひとりとの対話の時間が増えたと話しています。時間短縮の程度については「今のところ70%ぐらい」とサービス管理責任者が話していたと紹介されています(インタビュー全文)。

※数値・発言はインタビューで語られた個別の体験・概数であり、効果を保証するものではありません。

AURA就労支援の機能や導入の流れは、AURA就労支援の資料を受け取るからご確認いただけます。

よくある質問

B型の工賃は月にいくらくらいですか?

厚生労働省の公表では、令和6年度のB型事業所の平均工賃月額は24,141円です。事業所や通所日数によって差が大きいため、見学時に各事業所の実績を確認してください。

就労選択支援を受けないとB型は使えませんか?

50歳以上の人や障害基礎年金1級を受給している人などを除き、令和7年10月からは原則として就労選択支援によるアセスメントを経てB型を利用します。近くに就労選択支援事業所がない場合などは、就労移行支援事業所等のアセスメントによる利用も認められています。

B型に年齢の上限はありますか?

厚生労働省の対象者の説明には、A型や就労移行支援にある65歳以上の利用に関する条件が、B型には記載されていません。むしろ「50歳に達している者」が対象者の例として挙げられています。

B型の利用料はいくらかかりますか?

自己負担には世帯の所得に応じた月額の上限があり、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯は0円、課税世帯は9,300円または37,200円です。食材料費などの実費は事業所ごとに確認が必要です。

B型からA型や一般就労に移れますか?

移ることは可能です。厚生労働省の通知では、B型の利用中に本人の意向や能力に変化が見られる場合に備え、事業所は計画相談支援を行う者等と連携して就労選択支援に関する情報提供を定期的に行うこととされています。

工賃の額は事業所が自由に決めてよいのですか?

いいえ。運営基準により、生産活動の収入から必要な経費を差し引いた額を工賃として支払い、1か月の工賃の平均額は3千円を下回ってはならないと定められています。

参考資料

本記事は2026年10月24日時点の情報です。

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