計画相談支援事業所の開設に必要な書類|指定申請・人員・業務ソフト選び

公開日:2026/10/24

計画相談支援事業所の開設に必要な書類|指定申請・人員・業務ソフト選び

計画相談支援事業所を開設するには、法人が管理者・相談支援専門員・区画・運営規程を整え、所在地の市町村に指定申請します。最初にそろえるのは申請書類と運営書類で、業務ソフトは対応範囲と請求方法で選びます。

この記事では、指定の要件、申請の流れ(自治体の手引きの例)、申請書類と運営書類、報酬の考え方、業務ソフトの選び方、開業初日からの業務フローを解説します。

目次

  1. 計画相談支援事業所の指定のしくみ
  2. 指定を受けるための要件
  3. 人員の準備:管理者と相談支援専門員
  4. 指定申請の流れとスケジュール
  5. 指定申請でそろえる書類の一覧
  6. 申請と並行して進める届出・準備
  7. 開業後すぐに整備する運営書類
  8. 基本報酬と加算の考え方
  9. 業務ソフトの選び方
  10. 開業初日からの業務フロー設計
  11. AURAの使い方と導入事例
  12. よくある質問
  13. まとめ
  14. 関連記事
  15. 参考資料

計画相談支援事業所の指定のしくみ

計画相談支援の報酬(計画相談支援給付費)を受けるには、事業所の所在地の市町村長から指定を受けた「指定特定相談支援事業者」である必要があります(障害者総合支援法第51条の17、第51条の20)。指定は事業所ごとに行われ、6年ごとに更新を受けます(同法第51条の21)。

障害児の計画(障害児支援利用計画)を作る障害児相談支援は、児童福祉法に基づく別の指定です(第24条の26、第24条の28)。制度の全体像は「計画相談支援とは」で解説しています。

計画相談支援と障害児相談支援の指定の違い
項目計画相談支援障害児相談支援
根拠法障害者総合支援法児童福祉法
指定の名称指定特定相談支援事業者指定障害児相談支援事業者
指定する者事業所所在地の市町村長事業所所在地の市町村長
人員・運営の基準平成24年厚生労働省令第28号平成24年厚生労働省令第29号
作成する計画サービス等利用計画障害児支援利用計画

人員と運営のルールは平成24年厚生労働省令第28号と同第29号に定められています。本記事では前者を「運営基準」と呼びます。

指定を受けるための要件

指定の要件は、大きく次の5つです。細かな運用は自治体の手引きで確認します。

指定の主な要件と準備のポイント
要件内容根拠準備のポイント
法人格申請者が法人であること法第51条の20第2項(第36条第3項の準用)定款の目的に相談支援事業を加え、登記を早めに済ませる
人員事業所ごとに管理者と相談支援専門員を置く運営基準第3条・第4条相談支援専門員の実務経験証明と研修修了証を先に確認する
設備事業に必要な広さの区画と、必要な設備・備品運営基準第21条相談室のプライバシー、鍵付き書庫などは自治体の手引きで確認
運営規程事業の目的、職員、営業日、実施地域などを定める運営基準第19条重要事項説明書の土台になるため、申請前に固める
相談支援の体制障害種別を限定しない、協議会への参加など関係機関との連携、研修・事例検討の体制施行規則第34条の59第2項協議会への参加予定や年間の研修計画を用意する

定款について、江戸川区の手引きは目的に「障害者総合支援法に基づく特定相談支援事業」「児童福祉法に基づく障害児相談支援事業」と表記するよう求めています(社会福祉法人は別の表記)。

設備は、江戸川区の手引きが平面図に事務室、相談室、鍵付書庫、手洗場の場所を書くよう示しています。自宅の一室やほかの事業所との共用を考えている場合は、事前協議で確認しましょう。

人員の準備:管理者と相談支援専門員

運営基準は、事業所ごとに専従の相談支援専門員と管理者を置くよう定めています(第3条・第4条)。どちらも、業務や管理に支障がない場合はほかの職務との兼務が認められています。

相談支援専門員の員数の標準は、担当する利用者の数が35またはその端数を増すごとに1人です。新規指定では推定数で考え、障害児相談支援と一体的に運営する場合は両方の利用者数を合計します(第3条第2項・第3項)。

相談支援専門員になるには、一定の実務経験と相談支援従事者初任者研修の修了が必要です。岡山市の手引きは、初任者研修を修了した年度から5年度を経過している場合は現任研修の修了証も添付するよう求めています。要件の詳細は「相談支援専門員とは」で解説しています。

人員の準備:書くこと/記入例/よくある誤り
書類書くこと記入例(架空の事例)よくある誤り
経歴書職歴、資格、研修の受講状況2019年4月~現在 生活介護事業所 生活支援員継続中の職歴に「~現在」がない、資格証の写しが抜ける
実務経験証明書勤務先が証明する業務内容と従事日数相談支援業務、従事日数○日(前職の法人が証明)前職への依頼が遅れ、申請期限に間に合わない
勤務形態一覧表指定月の勤務予定、常勤・非常勤、専従・兼務管理者と相談支援専門員を兼務(常勤・兼務)兼務先の勤務時間と重なっている

実務経験証明書は前職の勤務先に作成を依頼するため、人員の書類が最初のボトルネックになりやすい点に注意します。

指定申請の流れとスケジュール

申請の流れや期限は自治体ごとに異なります。以下は一般的な流れで、必ず事業所所在地の最新の手引きで確認してください。

  1. 法人の設立または定款の目的変更、事業所の物件を確保する
  2. 相談支援専門員の要件(実務経験・研修)を確認する
  3. 市町村の担当課に事前相談(事前協議)を予約する
  4. 申請書類を作成し、期限までに提出する
  5. 審査を受け、補正・差替えに対応する
  6. 指定通知書(事業所番号)を受け取る
  7. 指定日から事業を開始し、翌月に前月分を国保連へ請求する
自治体の手引きにみる申請期限と指定日の例
自治体提出期限指定日提出方法
江戸川区指定を受けようとする月の2か月前の月末17時。補正が見込まれる場合は3か月前の月末が目安各月1日原則としてオンラインフォーム
岡山市指定希望年月日の前々月の末日。事前協議を行い、予約のうえ持参受付された日の翌々月1日持参(郵送は不可)

出典:江戸川区 特定相談支援事業・障害児相談支援事業 指定申請の手引、岡山市 事業所指定申請等の手引き(令和8年4月)

岡山市は、書類が完全にそろわなければ受け付けず、登記の変更や人員・設備が申請時に確定している必要があるとしています。江戸川区は補正が見込まれる場合、3か月前の月末の提出を目安としています。提出期限より前に事前相談を始めると、補正があっても予定を守りやすくなります。

指定申請でそろえる書類の一覧

申請事項は障害者総合支援法施行規則第34条の59第1項で定められ、登記事項証明書、平面図、管理者と相談支援専門員の経歴、運営規程、苦情解決の措置、勤務体制、誓約書などが含まれます。

申請書は国が定める様式によることとされ(同条第6項)、厚生労働省は指定申請等の標準様式等を公開しています。同ページは、標準様式等による手続の措置が令和8年4月に施行されたと案内しています。添付書類や提出方法は自治体ごとに異なります。

岡山市の手引きを例に主な書類を整理します。

指定申請の主な書類(岡山市の手引きの例)
分類書類準備のポイント
申請書指定申請書、付表(指定に係る記載事項)、兼務する相談支援専門員の別紙申請者欄は登記事項証明書と一致させる
法人登記事項証明書、誓約書岡山市は申請日前3か月以内に発行された原本を求めている
設備平面図、内外の写真、案内図、建築関係法令の協議記録写真の撮影箇所を平面図に書く
人員管理者・相談支援専門員の経歴書、就任承諾書、実務経験証明書、研修修了証の写し、勤務体制・勤務形態一覧表、組織体制図兼務先の勤務表も添付する
運営運営規程、苦情解決の措置の概要、関係機関との連携体制、研修・事例検討の体制協議会への参加や年間研修計画で示す
財務・その他2年度分の事業計画書・収支予算書、賃貸借契約書、損害賠償保険証書、社会保険・労働保険の確認票指定年度と翌年度の計画を作る

よくある誤りと書き換え例です(すべて架空の事例)。

申請書類のNG例と書き換え例
NG例問題点書き換え例
通常の事業の実施地域:市内全域及び近隣「近隣」の範囲が不明で、交通費の説明ができない通常の事業の実施地域:○○市全域
営業日:月曜~金曜祝日・年末年始の扱いがない営業日:月曜~金曜(祝日、12月30日~1月3日を除く)
苦情受付窓口:事業所担当者と外部の窓口が書かれていない苦情受付担当者:管理者 ○○。市の障害福祉課、運営適正化委員会も案内する

申請と並行して進める届出・準備

指定申請のほかにも、開業までに必要な手続があります。

指定申請以外の主な手続
手続根拠提出先タイミングの例
業務管理体制の届出障害者総合支援法第51条の31市町村長(特定相談支援のみ・1市町村内の場合)法人として初めて開設するとき
事業開始届社会福祉法第69条都道府県知事(自治体の案内で確認)事業開始の日から1か月以内
体制等に関する届出(加算届)報酬の告示市町村長機能強化型や体制加算を算定する前
情報公表の報告障害者総合支援法第76条の3都道府県知事(情報公表システム)提供を開始しようとするとき
国保連の電子請求の準備国保連の案内都道府県の国保連指定後、初回請求の前

事業開始届は社会福祉法第69条の届出で、江戸川区は東京都へ、岡山市は市の障害福祉課へ出すよう案内しています。

情報公表は、事業者が運営状況などを報告し都道府県が公表するしくみです(厚生労働省:障害福祉サービス等情報公表制度)。

国保連への請求はインターネットで行います。宮城県国保連の案内では、テストIDでのログイン、届出による本番用IDの発行、電子証明書の取得、接続確認の順に準備し、市販ソフトで請求情報を作る場合は「取込送信システム」を使うとしています。ソフト選びと請求準備は連動するため、指定申請と並行して検討しましょう。

開業後すぐに整備する運営書類

最初の契約までに、運営基準が求める書類と記録の仕組みを用意します。

開業後に整備する主な書類
書類・記録根拠(運営基準)ポイント
重要事項説明書第5条運営規程の概要などを文書で交付・説明し、提供開始の同意を得る
利用契約書第6条契約したら市町村へ遅滞なく報告する
個人情報使用の同意書第24条第3項サービス担当者会議等で個人情報を使う場合は、あらかじめ文書で同意を得る
相談支援台帳第30条第2項計画案・計画、アセスメント、サービス担当者会議等、モニタリング結果を利用者ごとに記録
連絡調整・苦情・事故の記録第27条・第28条・第30条受付の様式と記録の保存場所を決めておく
業務継続計画(BCP)第20条の2感染症と災害を想定し、研修・訓練も計画する
感染症対策・虐待防止の指針等第22条第3項・第28条の2委員会、指針、研修、虐待防止の担当者を定める
掲示物第23条運営規程の概要、専門員の資格・経験年数などを掲示

相談支援台帳や苦情・事故の記録は、提供した日から5年間保存することとされています(第30条第2項)。会計は事業所ごとに、ほかの事業と区分します(第29条)。

台帳に入る書類の書き方は「サービス等利用計画の記入例と書き方」「モニタリング報告書(相談支援)の書き方と記入例」、個人情報の管理は「障害福祉事業所の個人情報漏えい対策」で解説しています。

基本報酬と加算の考え方

計画相談支援の報酬は、計画を作る月の「サービス利用支援費」と、モニタリングを行う月の「継続サービス利用支援費」が基本です。いずれも事業所の体制に応じた区分があり、体制を整えた事業所向けに「機能強化型」の区分が設けられています(平成24年厚生労働省告示第125号)。単位数は改定で変わるため、本記事では扱いません。

加算には、初回加算、主任相談支援専門員配置加算、入院時情報連携加算、退院・退所加算、集中支援加算などがあります。開業準備では次の3点を押さえます。

  • 機能強化型の基本報酬や体制に関する加算は、市町村長への届出が算定の前提になる
  • 連携や会議に関する加算は、記録が算定の根拠になる。記録の様式を開業前に決めておく

報酬のしくみは「計画相談支援とは」で解説しています。

業務ソフトの選び方

業務ソフトは「どこまでの業務を1つの環境で扱うか」と「国保連への請求をどう行うか」で選ぶと整理しやすくなります。

業務ソフトのタイプと向いている事業所
タイプ主な範囲向いている事業所確認したい点
請求中心型請求データ、利用者負担の上限額管理など書類は自治体様式のExcelで作り、まず請求を確実にしたい書類との二重入力、モニタリング期限の管理方法
書類・請求一体型相談受付から計画、モニタリング、請求まで複数の専門員で件数を増やしていく自治体様式での出力、障害児相談支援への対応
書類作成支援(AI下書き)型面談音声や記録から書類の下書きを作る書類の時間を減らし、面談と見立てに時間を使いたい専門員が確認する運用、様式の取り込み、データの取扱い、請求との組み合わせ

確認したいポイントは次のとおりです。

  1. 市町村の様式で計画案やモニタリング報告書を出力できるか
  2. モニタリング月や受給者証の有効期間など、期限を一覧で管理できるか
  3. 請求データの作成と送信の方法(取込送信システムを使うかなど)
  4. 報酬改定や基準変更への対応に追加費用がかかるか
  5. 通信の暗号化やアクセス権限など、データの取扱いが公開されているか
  6. サポート体制と、デモで実際の帳票を確認できるか

比較の観点は「相談支援ソフトの選び方」で詳しく解説しています。

開業初日からの業務フロー設計

記録の方法は後から変えるほど負担が大きいため、開業時に「いつ・どこで・何に書くか」を決めます。運営基準第15条の流れに沿って、使う書類を対応させます。

  1. 相談受付:相談受付票、基本情報
  2. 契約:重要事項説明書、契約書、個人情報使用の同意書
  3. アセスメント:居宅等を訪問して面接し、アセスメントシートに記録
  4. サービス等利用計画案:作成し、文書で同意を得て交付。市町村へ提出
  5. 支給決定後:サービス担当者会議を開き、記録を残す
  6. サービス等利用計画:文書で同意を得て本人と担当者に交付し、写しを市町村へ提出
  7. モニタリング:市町村が定める期間ごとに居宅等を訪問し、結果を記録
  8. 請求:前月分を国保連の請求期間内に送信(宮城県国保連の案内では毎月1~10日)

1人体制で開業する場合の設計例です。

架空の事例:管理者兼相談支援専門員1人で開業するA事業所
場面決めたことねらい
面談本人の同意を得て録音し、面談中はメモを最小限にする本人の表情を見て話を聞く
記録面談当日中に下書きを作り、翌営業日までに確定する記憶が新しいうちに事実を残す
期限管理モニタリング月と受給者証の有効期間を一覧にし、毎月第1営業日に確認モニタリング漏れと更新漏れを防ぐ
請求毎月1日にモニタリング実績を確認してから請求データを作る実績と請求のずれを防ぐ

面談記録の作り方は「相談支援の面談記録をAIで作る」でも解説しています。

AURAの使い方と導入事例

AURA相談支援は、計画相談支援・障害児相談支援向けの障害福祉AIです。面談音声や資料から、アセスメント、サービス等利用計画案、モニタリング報告書、支援経過記録などの下書きを作り、相談支援専門員が確認・判断して仕上げます。AIが作るのはあくまで下書きで、最終的な判断は専門員が行います。今お使いのExcel様式を取り込んで書類を作れるため、市町村の様式に合わせた書類づくりにも使えます。

パソコンの台数やスタッフの人数による追加費用はなく、基準変更にも追加費用なしで対応します。目的は、書類作成の負担を減らし、利用者と向き合う時間を確保することです。データの取扱いはAURAの機能・セキュリティ・データ取扱いで公開しています。

導入事例として、相談支援を新規開業した株式会社エンジョイントの鳥毛社長の取り組みを紹介します(数値はインタビューで語られた個別の体験・概数です)。

  • グループホームの経験から「後から業務フローを組み換えるのって、逆に結構大変」と考え、開業前からAURAを業務フローに組み込みました。面談、録音、AIの下書き、その場での確認という流れが最初から習慣になり、3~5件で慣れたと話します。
  • 面談開始から印刷までは約50分(うち聞き取りが約40分)で、その場で本人と内容を確認できるようになりました。手作業なら「多分倍はかかる」との見立てです。面談中はパソコンをほぼ見ずに、目を合わせて対話できるようになったといいます。

詳しくは鳥毛社長のインタビューをご覧ください。開業前に業務フローを検討したい方は、AURA相談支援の資料を受け取るから使い方と事例を確認できます。

よくある質問

個人事業主でも開設できますか?

できません。指定特定相談支援事業者の指定は、申請者が法人であることが要件です(障害者総合支援法第51条の20第2項で準用する第36条第3項)。

相談支援専門員1人でも開設できますか?

管理者と相談支援専門員の兼務は支障がない範囲で認められており、1人体制で申請する例があります。兼務の可否は事前相談で市町村に確認してください。

障害児相談支援の指定も一緒に受けるべきですか?

障害児の計画を作るには別に指定が必要です。江戸川区は両方の指定を基本としており、岡山市は同時申請なら添付書類を1部でよいとしています。

記録は何年保存しますか?

相談支援台帳、連絡調整の記録、苦情・事故の記録などは、提供した日から5年間保存します(運営基準第30条第2項)。

業務ソフトはいつ決めればよいですか?

指定申請と並行して決めるのが望ましいです。請求準備や記録の様式がソフトの選択と連動するためです。

まとめ

計画相談支援事業所の開設は、法人格、人員、区画と設備、運営規程を整え、所在地の市町村に指定申請する流れです。期限や添付書類は自治体ごとに違うため、最新の手引きを入手し、事前相談から始めましょう。

最初にそろえるのは指定申請の書類と、重要事項説明書・契約書・同意書・相談支援台帳などの運営書類です。業務ソフトは対応範囲、自治体様式での出力、期限管理、請求方法で比べ、開業初日から記録の流れを決めておきましょう。

参考資料

本記事は2026年10月24日時点の情報です。指定の要件・申請手続は自治体ごとに異なるため、最新の法令と事業所所在地の市町村の案内をご確認ください。

面談から書類・記録・請求まで。
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