就労移行支援とは|対象者・利用期間・利用料・利用の流れ・B型との違い

公開日:2026/11/05

就労移行支援とは|対象者・利用期間・利用料・利用の流れ・B型との違い

就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す障害のある人が、原則2年間、事業所に通って就職に必要な訓練、求職活動の支援、就職後の定着支援を受ける障害福祉サービスです。市町村の支給決定を受けて利用します。

この記事では、法令上の定義、対象者、利用期間、利用料、利用開始までの流れ、就職後の定着支援、就労継続支援A型・B型との違い、事業所の運営面の基本を、厚生労働省とe-Gov法令検索の一次情報をもとに整理します。

目次

  1. 就労移行支援とは(法令上の定義)
  2. 就労移行支援の対象者
  3. サービス内容と事業所での過ごし方
  4. 利用期間(原則2年)と更新
  5. 利用料と工賃
  6. 利用開始までの流れ
  7. 就職後の定着支援
  8. 就労継続支援A型・B型との違い
  9. 事業所の運営面の基本
  10. 書類業務の負担を減らす(AURAの使い方・事例)
  11. よくある質問
  12. 関連記事
  13. 参考資料

就労移行支援とは(法令上の定義)

就労移行支援は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第5条第14項で定義されている障害福祉サービスです。条文では、就労を希望する障害者などに対し、主務省令で定める期間にわたり、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識と能力の向上のために必要な訓練などを行うものとされています(e-Gov法令検索:障害者総合支援法)。

具体的な期間と支援の中身は、同法の施行規則で定められています(e-Gov法令検索:障害者総合支援法施行規則)。

  • 期間:原則2年間(第6条の8)。あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の資格取得を目的とする場合は3年または5年
  • 支援の中身:生産活動、職場体験などの活動の機会の提供、就労に必要な訓練、求職活動に関する支援、適性に応じた職場の開拓、就職後の職場定着のための相談など(第6条の9)
  • 障害福祉サービスの中では「訓練等給付」に位置づけられる(厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」)

つまり、就労移行支援は「訓練して終わり」ではなく、求職活動、職場探し、就職後の定着までを一続きで支えるサービスです。障害者総合支援法そのものの全体像は障害者総合支援法とはで解説しています。

就労移行支援の対象者

厚生労働省の「障害福祉サービスの内容」では、就労移行支援の対象者を「就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者」と説明し、次の例を挙げています(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。

厚生労働省が示す就労移行支援の対象者の例
区分内容補足
(1)就職に支援が必要な人就労を希望し、単独での就労が難しいため、知識・技術の習得や就労先の紹介などの支援が必要な人職場開拓・定着支援も含む
(2)資格取得を目指す人あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許を取得して就労を希望する人利用期間は3年または5年
65歳以上の人65歳に達する前の5年間、引き続き障害福祉サービスの支給決定を受けており、65歳に達する前日に就労移行支援の支給決定を受けていた人入院などやむを得ない期間は除いて数える

障害の種類は問われません。身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などのある人が対象になり得ます。障害者手帳の有無の扱いや、医師の意見書などの必要書類は市町村によって異なるため、窓口で確認しましょう。

働いている人の一時的な利用

施行規則第6条の7の5では、通常の事業所に雇用されている人でも、次の場合には就労移行支援などを一時的に利用できるとされています。

  • 新たに雇用された後に、労働時間を段階的に延ばそうとする場合
  • 休職から復職しようとする場合

厚生労働省の通知では、労働時間を延ばす場合は概ね週10時間以上20時間未満からの段階的な延長で、利用期間は原則3か月から6か月以内(延長が必要な場合は合計1年まで)、復職を目指す場合は企業の定める休職期間の終了まで(上限2年)とされています。いずれも企業・主治医・市町村の判断など、細かな条件があります(厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」の一部改正について)。

サービス内容と事業所での過ごし方

就労移行支援で受けられる支援は、施行規則第6条の9の内容に沿って、大きく4つに分けられます。

就労移行支援の主な支援内容
支援主な内容例
訓練生産活動、職場体験などを通じた就労に必要な知識・能力の向上ビジネスマナー、パソコン、軽作業、生活リズムの安定、体調管理
求職活動の支援ハローワークでの求職登録など、利用者が行う求職活動の支援応募書類の作成、模擬面接、面接への同行
職場の開拓利用者の意向と適性に応じた求人の開拓企業への働きかけ、職場実習先の調整
定着の支援就職後の職場への定着のための相談など本人・企業との面談、困りごとの整理

訓練の内容は事業所によって大きく異なります。事務職を目指すプログラム、IT・デザインに特化したプログラム、軽作業中心のプログラムなどがあります。次は、ある利用者の1日の過ごし方のイメージです(架空の事例)。

就労移行支援事業所での1日の例(架空の事例)
時間帯内容支援の例
午前の始業朝礼、体調と睡眠の確認体調の波を記録し、通所の安定につなげる
午前パソコン訓練(文書作成・データ入力)希望職種に合わせて課題の難易度を調整する
昼昼食・休憩休憩の取り方や周囲との関わり方を見守る
午後応募書類の作成、模擬面接障害特性と必要な配慮を言葉にする練習をする
終業振り返りできたことと次の課題を確認し、支援記録に残す

通所の日数や時間、訓練の内容は、本人の体調や目標に合わせて個別支援計画で決めます。

利用期間(原則2年)と更新

就労移行支援の標準利用期間は、施行規則第6条の8で2年間とされています。2年の間に就職を目指して訓練と求職活動を進め、就職したら利用を終えるのが基本です。

ただし、2年で必ず打ち切られるわけではありません。厚生労働省の通知では、標準利用期間を超えて支給決定を更新する場合に、一律の取扱いをせず、市町村が個々の対象者の状況を勘案して判断することとされています。また、就労移行支援は複数回の利用も可能で、その場合も同じく個々の状況を勘案して支給決定を行うとされています(厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」の一部改正について)。

  • 更新できるか、どのくらいの期間かは市町村が判断する
  • 同じ通知では、令和7年10月以降、利用中に本人の意向や能力に変化が見られる場合に備えて、事業所が計画相談支援を行う者などと連携し、就労選択支援に関する情報提供を定期的に行うこととされている
  • 所定労働時間が概ね週10時間未満で就職した人が引き続き訓練を受ける「短時間型」の利用は、標準利用期間2年、最大3年の支給決定ができるとされている

就労選択支援の内容は就労選択支援とはで詳しく解説しています。

利用料と工賃

障害福祉サービスの自己負担には所得に応じた月ごとの上限があり、利用量にかかわらず上限額を超える負担は生じません(厚生労働省「障害者の利用者負担」)。

障害者の負担上限月額
区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)。入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く9,300円
一般2上記以外37,200円

所得を判断する世帯の範囲は、18歳以上の障害者(施設に入所する18、19歳を除く)の場合、本人とその配偶者です。親と同居していても、親の収入は原則として判定に含まれません。昼食や交通費などの実費は事業所ごとに異なるため、契約前に重要事項説明書で確認してください。

就労移行支援の工賃

就労移行支援は就職に向けた訓練が目的で、雇用契約は結びません。そのため給料(賃金)は支払われません。一方、事業所の運営基準では、生活介護の工賃に関する規定(第85条)が就労移行支援に準用されており、生産活動に従事している人には、生産活動の収入から必要な経費を差し引いた額を工賃として支払うことになっています(e-Gov法令検索:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第184条)。生産活動の有無や工賃の額は事業所によって異なります。

利用開始までの流れ

就労移行支援の利用は、市町村への申請から始まります。厚生労働省のパンフレットに示されている支給決定の流れを、就労移行支援に当てはめると次のとおりです(厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」)。

  1. 相談・見学:市町村の窓口や相談支援事業所に相談し、気になる事業所を見学・体験する
  2. 申請:市町村に利用を申請する
  3. サービス等利用計画案の作成:相談支援専門員が計画案を作成し、市町村に提出する(セルフプランの場合もある)
  4. 支給決定:市町村が支給決定を行い、受給者証が交付される
  5. 契約:重要事項の説明を受けて事業所と契約する。サービス担当者会議を経てサービス等利用計画が確定する
  6. 個別支援計画の作成:サービス管理責任者がアセスメントを行って計画を作成し、本人の同意を得て利用開始となる

受給者証の記載内容は障害福祉サービス受給者証とは、相談支援専門員の役割は計画相談支援とはで解説しています。手続きの細部は市町村によって異なります。

事業所を選ぶときは、訓練の内容が希望職種に合っているか、通いやすさ、就職先の傾向と就職後の定着支援の体制、見学・体験の受け入れを比べると判断しやすくなります。就職実績は人数だけでなく職種や定着状況も確認しましょう。

就職後の定着支援

就労移行支援の支援は、就職した時点で終わりではありません。運営基準第182条では、事業所は利用者の職場への定着を促進するため、障害者就業・生活支援センターなどの関係機関と連携して、就職した日から6か月以上、職業生活における相談などの支援を続けなければならないとされています(e-Gov法令検索:指定基準)。

さらに、利用者が「就労定着支援」の利用を希望する場合、事業所は6か月の支援が終わった後、速やかに就労定着支援を受けられるよう、就労定着支援事業者との連絡調整を行うこととされています。

就職前後の主な支援の流れ
時期担う主なサービス支援の例
就職まで就労移行支援訓練、求職活動の支援、職場実習、職場の開拓
就職後6か月以上就労移行支援(運営基準第182条)職業生活の相談、本人と企業の間の調整
その後(希望する場合)就労定着支援生活面・就業面の課題への対応、企業や関係機関との連絡調整

就労定着支援を行う事業所の体制は就労定着支援の人員配置基準で解説しています。

就労継続支援A型・B型との違い

就労移行支援と、就労継続支援A型・B型の主な違いは次のとおりです。

就労移行支援・就労継続支援A型・B型の比較
項目就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型
目的一般企業への就職に向けた訓練と求職・定着支援雇用契約に基づく就労の機会と訓練雇用契約によらない就労・生産活動の機会と訓練
雇用契約結ばない結ぶ結ばない
受け取るお金給料はない(生産活動に従事した場合は工賃)賃金工賃
利用期間原則2年間(施行規則第6条の8)施行規則上の期間の定めなし施行規則上の期間の定めなし
主な対象通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる人雇用契約に基づき継続的に就労することが可能な人雇用契約に基づく就労が困難な人

対象者の説明は厚生労働省「障害福祉サービスの内容」によります。厚生労働省はA型の対象者の例として「就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者」を挙げており、就労移行支援の後にA型やB型を利用する流れもあります。

B型の詳細は就労継続支援B型とは、就労定着支援や就労選択支援も含めた比較は就労移行支援と就労継続支援の違いを解説で扱っています。

事業所の運営面の基本

ここからは事業所を運営する側の基本です。詳細は改定で変わるため、最新の告示・通知と指定権者の案内で確認してください。開業の手順は就労移行支援の開業ガイド、設備の基準は就労移行支援の設備基準で解説しています。

人員配置

就労移行支援の人員基準は、運営基準第175条で定められています(e-Gov法令検索:指定基準)。

  • 職業指導員と生活支援員の総数は、常勤換算で利用者数を6で割った数以上。職業指導員・生活支援員はそれぞれ1人以上、いずれか1人以上は常勤
  • 就労支援員は、常勤換算で利用者数を15で割った数以上
  • サービス管理責任者は、利用者数60人以下で1人以上(うち1人以上は常勤)
  • 利用者数は前年度の平均値(新規指定の場合は推定数)で数える

就労継続支援A型・B型(職業指導員・生活支援員は10:1)と比べて手厚い配置で、求職活動や職場開拓を担う就労支援員の配置が求められている点が特徴です。計算方法とモデル例は就労移行支援の人員配置基準、サービス管理責任者の役割はサービス管理責任者とはをご覧ください。

就労移行支援計画(個別支援計画)

運営基準第184条は、個別支援計画の作成に関する第58条を就労移行支援に準用し、計画の名称を「就労移行支援計画」と読み替えています。サービス管理責任者は、利用者への面接によるアセスメント、計画原案の作成、計画作成会議、本人への説明と文書による同意、計画の交付を行います。

注意したいのは見直しの頻度です。第58条の「少なくとも6月に1回以上」という見直しの規定は、就労移行支援では「3月」に読み替えられています。就労継続支援A型・B型より短い周期でモニタリングと計画の見直しを行う必要があり、書類業務の量が増えやすいサービスといえます。書き方は個別支援計画とはで詳しく解説しています。

就職状況の報告と市町村への連絡

運営基準第181条では、ハローワークでの求職登録などの求職活動の支援と、関係機関と連携した求人の開拓が求められています。第183条では、毎年、前年度に就職した利用者の数などの就職状況を都道府県に報告することとされています。

また、厚生労働省の通知では、利用者が就職した場合には支給決定権者である市町村に適時に報告すること、重要事項説明書の退所理由に就職を明記するなど利用開始時に利用者へ説明することが求められています。加算の要件と届出は就労移行支援の加算一覧をご覧ください。

利用希望者への説明

利用期間やお金の説明は、利用希望者の判断に直結します。誤解を招きやすい例と書き換え例です(架空の事例)。

利用希望者への説明のNG例と書き換え例(架空の事例)
NG例問題点書き換え例
「2年あれば必ず就職できます」就職は本人の状況や求人に左右され、保証できない「2年間を目安に、就職と定着に向けて一緒に計画を立てます」
「2年たったら必ず退所です」標準利用期間を超える更新は市町村が個別に判断する「期間を超える場合の扱いは、市町村が状況に応じて判断します」
「通えばお給料が出ます」雇用契約はなく、賃金は支払われない「給料はありません。生産活動に参加した場合は工賃が出ることがあります」

書類業務の負担を減らす(AURAの使い方・事例)

就労移行支援事業所では、アセスメント、3か月ごとの就労移行支援計画の見直しとモニタリング、支援記録、職場実習や求職活動の記録、就職後の定着支援の記録、実績管理、国保連請求など多くの事務が発生し、利用者と向き合う時間を圧迫しがちです。

AURA就労支援は、就労移行支援・就労継続支援A型/B型向けの障害福祉AIです。面談音声や支援記録からアセスメント、個別支援計画書、モニタリング報告書などの下書きを作成します。AIの出力はあくまで下書きで、内容の確認・修正と最終的な判断は職員が行います。利用者管理、支援記録、実績、国保連請求まで一つの環境で扱えるため、書類業務の負担を減らし、利用者の就職と定着に向けた支援に時間を使いやすくなります。

導入事例:福岡市のIT特化型就労支援事業所 てとて

てとての山本氏は、面談で特定の職員にだからこそ話せた内容を他の職員に共有するために、その職員の時間をまた使うのはもったいないと話し、面談を録音してAURAで議事録を作っておけば誰でも内容を確認できると語っています。同事業所では、デザイン会社への就職を目指していた利用者が、スタッフの支援と企業とのつながりを通じて就職した経験も紹介されています(インタビュー全文)。

※発言はインタビューで語られた個別の体験であり、効果を保証するものではありません。

AURA就労支援の機能や導入の流れは、AURA就労支援の資料を受け取るからご確認いただけます。

よくある質問

就労移行支援に年齢の上限はありますか?

原則として65歳未満が対象です。65歳に達する前の5年間引き続き障害福祉サービスの支給決定を受け、65歳の前日に就労移行支援の支給決定を受けていた人は、65歳以上でも利用できます。

2年で就職できなかったらどうなりますか?

標準利用期間を超えて支給決定を更新するかどうかは、市町村が個々の状況を勘案して判断します。就労継続支援A型・B型など、別のサービスの利用を検討する場合もあります。

就労移行支援は2回以上利用できますか?

複数回の利用は可能です。厚生労働省の通知では、その場合も市町村が個々の対象者の状況を勘案して支給決定を行うこととされています。

利用料はいくらかかりますか?

自己負担には世帯の所得に応じた月額の上限があり、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯は0円、課税世帯は9,300円または37,200円です。昼食や交通費などの実費は事業所ごとに確認が必要です。

就労移行支援で給料や工賃はもらえますか?

雇用契約を結ばないため、給料(賃金)はありません。生産活動に従事した場合は、生産活動の収入から経費を差し引いた額が工賃として支払われます。

働きながら就労移行支援を利用できますか?

雇用された後に労働時間を段階的に延ばす場合や、休職から復職する場合は、条件を満たせば一時的に利用できます。企業や主治医の判断などの条件があるため、市町村に確認してください。

参考資料

本記事は2026年10月27日時点の情報です。

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