就労定着支援とは|対象者・利用期間・利用料・支援内容・移行支援との違い

公開日:2026/11/02

就労定着支援とは|対象者・利用期間・利用料・支援内容・移行支援との違い

就労定着支援とは、就労移行支援などを経て一般企業に就職した障害のある人が働き続けられるよう、就職6か月後から最長3年間、企業や医療機関との連絡調整や生活面の相談を受けられる障害福祉サービスです。

この記事では、法令上の定義、対象者、利用開始のタイミング、利用期間と支援の終了、支援内容、利用料、利用までの手続き、就労移行支援との違い、事業所の運営面の基本を、厚生労働省とe-Gov法令検索の一次情報をもとに整理します。

目次

  1. 就労定着支援とは(法令上の定義)
  2. 就労定着支援の対象者
  3. 利用開始のタイミング(就職後6か月の流れ)
  4. 利用期間(最長3年)と支援の終了
  5. 支援内容(月1回以上の面談・企業訪問・支援レポート)
  6. 利用料(自己負担)
  7. 利用までの手続き
  8. 就労移行支援との違い
  9. 事業所の運営面の基本
  10. 就職前後の書類業務の負担を減らす(AURAの使い方・事例)
  11. よくある質問
  12. 関連記事
  13. 参考資料

就労定着支援とは(法令上の定義)

就労定着支援は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第5条第16項で定義されている障害福祉サービスです。条文では、就労に向けた支援を受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者について、一定の期間、その事業所での就労の継続を図るために必要な、事業主・障害福祉サービス事業者・医療機関などとの連絡調整その他の便宜を供与するものとされています(e-Gov法令検索:障害者総合支援法)。

条文の「主務省令で定める」部分は、同法の施行規則で次のように定められています(e-Gov法令検索:障害者総合支援法施行規則)。

  • 就労に向けた支援:生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(第6条の10の2)
  • 期間:3年間(第6条の10の3)
  • 便宜:事業主・障害福祉サービス事業者・医療機関などとの連絡調整、雇用に伴って生じる日常生活・社会生活上の問題に関する相談・指導・助言など(第6条の10の4)

就労定着支援は平成30年(2018年)4月に始まったサービスで、障害福祉サービスの中では「訓練等給付」に位置づけられます(障害者総合支援法第28条第2項)。法律全体の仕組みは障害者総合支援法とはで解説しています。

就労定着支援の対象者

厚生労働省の「障害福祉サービスの内容」では、対象者を次のように説明しています(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。

  • 生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(以下「就労移行支援等」)を利用した後、通常の事業所に新たに雇用された障害者
  • 就労を継続している期間が6か月を経過した人
  • 病気や障害で休職し、就労移行支援等を利用した後に復職した人で、就労を継続している期間が6か月を経過した人も含む

ポイントは、就労移行支援等の障害福祉サービスを経て就職していることです。就労移行支援だけでなく、就労継続支援A型・B型や生活介護、自立訓練から一般企業に就職した人も対象になり得ます。障害の種類は問われず、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などのある人が対象になり得ます。

一方、障害福祉サービスを利用せずにハローワークなどを通じて就職した人は、この説明の対象者にはあたりません。その場合の職場定着の相談先は、障害者就業・生活支援センターや地域の就労支援機関などになります。具体的な扱いは市町村の窓口で確認しましょう。

利用開始のタイミング(就職後6か月の流れ)

就職後すぐに就労定着支援を利用するわけではありません。就職後6か月の間は、就職前に利用していた就労移行支援等の事業所が職場定着の支援を行います。たとえば就労移行支援事業所には、利用者が就職した日から6か月以上、障害者就業・生活支援センターなどと連携して職業生活の相談などの支援を続ける義務があります(e-Gov法令検索:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第182条)。

厚生労働省の通知「就労定着支援の実施について」(令和6年3月29日 障障発0329第6号)は、就労移行支援等の事業所が、この6か月の間に次の流れで就労定着支援の利用につなぐことが望ましいとしています(厚生労働省「就労定着支援の実施について」)。

就職前から就労定着支援の利用開始までの流れ(通知をもとに整理)
時期就労移行支援等の事業所が行うこと本人・関係機関の動き
就職前(就職先の決定〜就職前日)就職後の定着支援のニーズを把握し、支援の方法を相談する。7か月目以降は就労定着支援を利用できることを伝える本人が就職後の支援について理解する
就職後2〜3か月目就労定着支援の利用の意向を確認し、本人の同意を得て相談支援事業所・就労定着支援事業所と状況を共有する相談支援事業所と生活面の支援を相談する
就職後4〜5か月目利用申請があれば、就労定着支援事業所や企業と支援の方向性を共有し、連絡調整を行う本人が市町村に利用を申請する。相談支援事業所がサービス等利用計画案を作る
就職後7か月目〜(就労定着支援事業所へ引き継ぎ)就労定着支援の利用を開始する

通知では、通常の事業所で働きながら労働時間を延ばすために就労移行支援等を一時的に利用した場合は就労移行支援等の終了日の翌日から6か月、休職から復職した場合は復職した日を1日目として6か月が、この期間にあたるとされています。

利用期間(最長3年)と支援の終了

就労定着支援の利用期間は、施行規則第6条の10の3で3年間と定められています。就職後6か月の定着支援と合わせると、就職から最長3年6か月にわたって支援を受けられる計算になります。支給決定には有効期間があるため、途中の更新手続きは市町村に確認してください。

途中から利用を希望した場合

通知では、就職後7か月目の時点で利用を希望しなかった人や、途中で利用をやめた人が後から改めて利用を希望した場合、3年6か月から雇用継続期間を除いた期間に限って支給決定を行って差し支えないとされています。たとえば雇用継続期間が1年3か月の場合、残り2年3か月の利用が可能です。

支援期間の終了と引き継ぎ

通知では、就労定着支援事業所は、支援期間が終わるまでに、利用者が日常生活や社会生活の課題に自分で対処できるよう支援し、特別な支援がなくても職場に定着できる状態を目指すことが重要とされています。

  • 支援期間を越えて支援が必要と判断した場合は、定着に向けた取組を続けることは差し支えない
  • 障害者就業・生活支援センターや自治体の就労支援機関に、支援終了後の支援を依頼することもできる
  • 引き継ぐ場合は、支援終了の少なくとも3か月以上前に、本人の了解のもとで状況や課題などの情報を関係機関に伝える
  • 支援期間が終わったことだけを理由に、一律に引き継ぐことは避ける

利用中に離職した場合

運営基準第206条の9では、就労定着支援の利用期間中に離職した利用者が、離職後も他の企業への就職などを希望する場合、就労定着支援事業者は特定相談支援事業者などと連携し、他の障害福祉サービス事業者などとの連絡調整を行わなければならないとされています。

支援内容(月1回以上の面談・企業訪問・支援レポート)

運営基準第206条の8と通知では、就労定着支援の主な支援内容を次のように定めています。

就労定着支援の主な支援内容
支援内容頻度・位置づけ
本人との面談雇用に伴って生じる日常生活・社会生活上の問題に関する相談・指導・助言月1回以上。対面またはテレビ電話装置などの対面に相当する方法
企業訪問職場での利用者の状況を把握し、事業主に障害特性への理解を促す月1回以上の訪問が努力義務。特段の合理的な理由がない限り、可能な限り行うことが求められる
関係機関との連絡調整事業主、障害福祉サービス事業者、医療機関などとの連絡調整と連携。ケース会議の開催必要に応じて。個人情報の共有には書面での本人同意などの手続きが必要
支援レポート支援の提供日、内容、支援の方向性などをまとめた報告書を本人に提供する月1回以上の提供が報酬算定の要件

オンライン会議用ツールを使った面談も可能ですが、通知では、双方向のやり取りができること、本人の様子が確認できること、本人に負担がないことに留意するよう求めています。

また、課題が生じたときに就労定着支援員が本人に代わって解決するのではなく、支援期間の終了後を見すえて、本人が少しずつ課題解決の力を身につけられるよう支えることが重要とされています。

支援レポートは、本人の同意のもとで事業主と共有することが望ましいとされています。一方、障害を開示せずに働いている人の場合や、本人が共有を希望しない内容は、事業主と共有する必要はありません。記録の書き方は支援記録の書き方と時短のコツも参考にしてください。

利用料(自己負担)

就労定着支援は障害福祉サービスのため、原則として費用の1割を自己負担します。ただし、世帯の所得に応じて月ごとの負担上限額が決まっており、それ以上の負担は生じません(厚生労働省「障害者の利用者負担」)。

障害福祉サービスの負担上限月額
区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)9,300円
一般2上記以外37,200円

18歳以上の障害者の場合、所得を判断する世帯の範囲は本人とその配偶者です。就労定着支援の利用者は就職して給与を得ているため、就職前に利用していた就労移行支援などでは0円だった人でも、所得によっては負担が生じることがあります。実際の負担額は、市町村の支給決定と受給者証の記載で確認しましょう。受給者証の見方は障害福祉サービス受給者証とはで解説しています。

利用までの手続き

就労定着支援を利用するには、ほかの障害福祉サービスと同じく市町村の支給決定を受けます。一般的な流れは次のとおりです。

  1. 就職前後に、利用していた就労移行支援等の事業所から就労定着支援の説明を受ける
  2. 就職後2〜5か月目ごろに、利用の意向を事業所や相談支援専門員に伝え、利用したい就労定着支援事業所を探す
  3. 市町村の窓口で支給申請を行う
  4. 指定特定相談支援事業所がサービス等利用計画案を作成し、市町村に提出する
  5. 市町村が支給決定を行い、受給者証が交付(記載)される
  6. 就労定着支援事業所と契約し、就職後7か月目から利用を開始する

通知では、特定相談支援事業所が、就労移行支援等の利用終了後も本人と面談したり企業とのカンファレンスを設けたりして状況を把握し、支給申請の勧奨やサービス等利用計画案の作成などの支援を行うとされています。計画相談の役割は計画相談支援とは、計画の中身はサービス等利用計画とはをご覧ください。

就労移行支援等を利用した事業所と同じ法人が就労定着支援を行っているとは限りません。支援の引き継ぎ方は事業所ごとに異なるため、就職前に確認しておくと安心です。

就労移行支援との違い

就労移行支援は「就職するまで」、就労定着支援は「就職して6か月が過ぎてから」の支援です。主な違いを整理します。

就労移行支援・就職後6か月の定着支援・就労定着支援の比較
項目就労移行支援就職後6か月の定着支援就労定着支援
時期就職前就職日から6か月就職後7か月目から
期間原則2年6か月以上3年間
主な支援職業訓練、求職活動、職場開拓職業生活の相談などの継続支援月1回以上の面談、企業訪問、連絡調整、支援レポート
位置づけ障害福祉サービス(訓練等給付)就労移行支援事業所などの義務・努力義務障害福祉サービス(訓練等給付)。別に支給決定が必要

就労移行支援の期間(原則2年)は施行規則第6条の8によります。就労系サービスの全体像は就労移行支援と就労継続支援の違い、就労継続支援は就労継続支援A型とはと就労継続支援B型とは、就職前の進路選択を支えるサービスは就労選択支援とはで解説しています。

事業所の運営面の基本

ここからは、就労定着支援を行う事業所向けに、運営基準と通知の要点をまとめます。

実施主体の要件

運営基準第206条の7では、就労定着支援事業者は、生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援(以下「生活介護等」)の指定事業者で、過去3年以内にその事業所の3人以上の利用者が新たに通常の事業所に雇用されたもの、または障害者就業・生活支援センターでなければならないとされています。障害者就業・生活支援センターを除き、就労移行支援などで就職の実績がある事業者でなければ指定を受けられない仕組みです。

人員配置

運営基準第206条の3では、人員配置を次のように定めています。

  • 就労定着支援員:常勤換算で、利用者数を40で割った数以上
  • サービス管理責任者:利用者数60人以下で1人以上、61人以上は40人ごとに1人を加える。1人以上は常勤
  • 生活介護等と一体的に運営する場合、サービス管理責任者の必要数は両方の利用者の合計で数える
  • 利用者数は前年度の平均値(新規指定の場合は推定数)で数える

通知では、新規に支援を始める場合の利用者数の推定方法も示されています。計算の詳細は就労定着支援の人員配置基準、サービス管理責任者の役割はサービス管理責任者とはをご覧ください。

就労定着支援計画と記録

運営基準第206条の12は、個別支援計画に関する第58条を準用し、計画の名称を「就労定着支援計画」と読み替えています。通知では、サービス管理責任者が計画の実施状況を把握し、少なくとも6か月に1回以上見直すこととされ、職業人としての自立に関する課題を明確にしたうえで、雇用管理や疾病管理など就業面・健康面の課題に、他の関係機関と連携して計画的に取り組むことが重要とされています。

運営基準第206条の11では、提供した支援の記録や就労定着支援計画などを、支援を提供した日から5年間保存することとされています。通知では、支援レポートの作成で支援記録の整理に代えることができるとされています。計画の書き方は個別支援計画とはで解説しています。

報酬と就労定着率

通知では、就労定着支援サービス費は就労定着率に応じて基本報酬を算定する仕組みとされています。就労定着率は、過去3年間に就労定着支援の利用を始めた人のうち、前年度末時点で就労が続いている人の割合です。基本報酬の単位数や加算・減算の要件は、報酬告示と留意事項通知で確認してください。就労移行支援の加算は就労移行支援の加算一覧で整理しています。

就職前後の書類業務の負担を減らす(AURAの使い方・事例)

就労移行支援事業所では、在籍中の利用者への訓練や面談に加えて、就職した人の6か月間の定着支援、企業訪問、就労定着支援への引き継ぎが重なります。アセスメント、個別支援計画、モニタリング、支援記録といった書類に時間を取られると、職場に足を運ぶ時間や本人と向き合う時間が削られがちです。

AURA就労支援は、就労移行支援・就労継続支援A型/B型の事業所向けの障害福祉AIです。面談音声や支援記録からアセスメント、個別支援計画書、モニタリング報告書などの下書きを作成します。AIの出力はあくまで下書きで、内容の確認・修正と最終的な判断は職員が行います。利用者管理、支援記録、実績、国保連請求まで一つの環境で扱えるため、書類業務の負担を減らし、就職後の定着を見すえた支援に時間を使いやすくなります。

導入事例:Omoro-Step 統括 日下部さん

就労移行支援・定着支援に携わってきた日下部さんは、以前は利用者を15人ほど担当し、定着支援も10人ほど持っていて、企業に出向いて戻ってから面談と書類作成を繰り返す毎日だったと話しています。AURAを使い始めてからは、1時間ほどかかっていた個別支援計画の作成が10分ほどになり、面談の時間や遠方への訪問に時間を使えるようになったと語っています(インタビュー全文)。

※インタビューで語られた個別の体験・概数であり、効果を保証するものではありません。

AURA就労支援の機能や導入の流れは、AURA就労支援の資料を受け取るからご確認いただけます。

よくある質問

なぜ就職後6か月たたないと利用できないのですか?

就職後6か月の間は、就職前に利用していた就労移行支援等の事業所が職場定着の支援を行う期間とされているためです。就労定着支援は、その期間が過ぎた7か月目から引き継いで支援します。

就労定着支援は何年使えますか?

利用期間は3年間です。途中から利用を始める場合は、就職から3年6か月までの残りの期間に限って利用できるとされています。

就労定着支援に利用料はかかりますか?

原則1割の自己負担があり、本人と配偶者の所得に応じて月0円、9,300円、37,200円のいずれかが上限になります。就職して所得が増えると負担が生じる場合があります。

障害を会社に伝えずに働いていても利用できますか?

通知では、障害を開示せずに就職し、就労定着支援員が事業主に接触できない場合も想定されています。企業訪問や支援レポートの共有は本人の同意が前提のため、事業所と相談してください。

3年たった後はどうなりますか?

支援期間の終了後は、必要に応じて障害者就業・生活支援センターや自治体の就労支援機関に引き継ぎます。引き継ぎの情報は、終了の3か月以上前に本人の了解を得て伝えることとされています。

参考資料

本記事は2026年11月2日時点の情報です。

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